便秘と下痢を繰り返すときは過敏性腸症候群の可能性がある

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この記事のポイント


あなたは「しばらく便秘だったのに、急に下痢になった」という経験をしたことはないでしょうか? 「昨日まで便秘だったのに今日は下痢」 ということもあれば、トイレの最中に便秘から下痢に変わることもあります。

身体の異常や感染症などのトラブルがないのに、このようなことが頻繁に続くときは「過敏性腸症候群」の可能性があります。

そこで今回は、過敏性腸症候群の特徴と対策について解説していきます。この記事を読めば、お腹の調子を整えるためにはリラックスすることも大切だということが理解できるでしょう。


【筆者】山口 幸三

  • 2003年:北海道大学農学部 卒業
  • 2005年:北海道大学大学院農学研究科 修士課程 修了
  • 2005年~2017年:協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)
    がんや腸内細菌に関するプロジェクトのサブリーダーとして研究を牽引。
  • 2019年:株式会社フローラボ設立
腸内環境に関する専門知識を背景に腸活関連の事業を推進。現在は、腸内フローラ解析にもとづいたパーソナル腸活(その人に合った腸活)のサポート、腸活ダイエットのサポート、腸活勉強会の主催などを行っている。


1.便秘が解消された途端に下痢になる?!


まずは私の経験を紹介します。私が社会人3~5年目の頃、「トイレに座っている最中に便秘から急に下痢になる」という経験をしました。

便秘から急に下痢

もともと便秘体質だったので、トイレに座っても思うように出ないことはありました。しかしこの頃に「便秘から下痢になる」ということを何回も経験したのです。

当時は知識がなかったため「便秘が解消されてラッキー」程度にしか思っていませんでした。医療機関を受診するほどの悩みでもなかったので放置していましたが、おそらく当時の私は過敏性腸症候群だったと思います。

過敏性腸症候群には実に多くの日本人が悩まされています(後述のとおり、日本人の10~20%が過敏性腸症候群という情報もあります)。そのため、私のような経験をした人も意外と多いのではないでしょうか?

ここからは「過敏性腸症候群」についてもう少し深掘りしていきましょう。


2.過敏性腸症候群の特徴


過敏性腸症候群とは、身体的な異常は見つからないにも関わらず、腹痛や下痢、便秘などの症状が続くことをいいます。

「身体的な異常が見つからない」というのがポイントです。つまり、レントゲン検査や内視鏡検査を行っても「異常なし」と判断されてしまうのです。そのような状態でも腹痛、下痢、便秘などが続く場合は過敏性腸症候群の可能性があります。

過敏性腸症候群には「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」の4つの型があります。

下痢型下痢が頻発する。男性に多い。
便秘型便秘が頻発する。女性に多い。
混合型便秘と下痢が繰り返される。
分類不能型上記のいずれにも分類されない。

どの型になるかは人によって異なりますが、男性の場合は「下痢型」、女性の場合は「便秘型」になることが多いです。今回のテーマである「便秘と下痢を繰り返す」というのは「混合型」に該当します。

過敏性腸症候群の主な原因はストレスと考えられています。そのため、過敏性腸症候群は現代病の一つと言われることもあります。


IBSの主な原因はストレス

以前、「日本消化吸収学会」という少しマニアックな学会で消化器内科の先生から聞いた話では、日本人の10~20%は過敏性腸症候群になっているということでした。

この統計データが何にもとづいて算出されたかまでは確認できませんでしたが、「とても多くの日本人が、ストレスが原因でおなかの調子を崩している」ということが理解できると思います。

<参考記事>※ストレス以外にも「食中毒」が引き金になって過敏性腸症候群になるケースもあります。
急性胃腸炎が過敏性腸症候群の原因になることもある!

<参考記事>※ストレスと腸内環境の関係はこちらで解説しています。
ストレスに注意!精神的ストレスは腸内環境を悪化させる



3.過敏性腸症候群の対策


このように多くの人を悩ませている過敏性腸症候群ですが、さまざまな対策が考えられています。その中でも大事なのが「ストレスの軽減」と「低FODMAP(フォドマップ)食」です。


3-1.ストレスの軽減

過敏性腸症候群の主な原因はストレスなので、日常生活ではできるだけストレスを減らす必要があります。

そのためのポイントとして以下のようなものがあります。
  • 夜はゆっくりお風呂につかってリラックスする
  • ベッドに入る直前にPCやスマホを触らない
  • 夜更かししない
  • 6時間以上の睡眠時間を確保した上で早寝早起きする
また医療機関を受診すれば、抗不安薬や抗うつ薬などが処方されることもあります。その場合は医師の指示に従って服用するようにしましょう。


3-2.低FODMAP(フォドマップ)食

過敏性腸症候群の人に推奨されているのが「低FODMAP食」という食事です。簡単に言うと「発酵しやすい糖質を避けた食事」のことです。

FODMAPは、 Fermentable(発酵性の) Oligosaccharides(オリゴ糖) Disaccharides(二糖類) Monosaccharides(単糖類) And  Polyols(ポリオール) の略


例えば「オリゴ糖」は小腸で消化・吸収されにくく、大腸まで到達しやすい性質があります。そのため、大腸内で発酵されてガスを発生し、お腹の不快感につながることがあります。オリゴ糖は一般的には腸によい糖質とされていますが、過敏性腸症候群の人にとっては不快な症状の原因になり得るのです。

「低FODMAP食」とはいっても何を食べればよいかわからない人も多いと思うので、低FODMAP食の基本となる食材を紹介しておきます。


日本における低FODMAP食の基本(原案)
(参照:宇野コラム


これは、日本における低FODMAP食の第一人者である医師・宇野良治氏がまとめた低FODMAP食の基本食材です。この他にも、FODMAPアプリというアプリが開発されているので、それを利用して食材を選んでもよいと思います。

低FODMAP食は継続するのが難しいという難点がありますが、日本消化器病学会でも推奨されている食事なので一度試してみるとよいでしょう。

<参考記事>
低FODMAP(フォドマップ)食は過敏性腸症候群の症状を軽くする!



4.まとめ

  • 便秘と下痢を繰り返すときは「混合型」の過敏性腸症候群の可能性がある。
  • 過敏性腸症候群の主な原因はストレスである。
  • 過敏性腸症候群の対策としては、「ストレスの軽減」「低FODMAP食」などがある。
  • 低FODMAP食は継続するのが難しいという難点はあるが、日本消化器病学会でも推奨されている食事なので一度試してみるとよい。
今回は便秘と下痢を繰り返すタイプ(混合型)の過敏性腸症候群について解説してきました。過敏性腸症候群にはストレス解消や食事の工夫などが対策になるので、もし該当する場合は日々の生活に取り入れることを検討してみてください。



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