脂質の摂りすぎは腸内細菌バランスを「肥満型」にする


当たり前ですが、油っぽいものや甘いものを食べすぎると太ります。ダイエットをするときはこれらの食べ物に注意しなければなりません。

一般的には、「余分に摂りすぎたエネルギーは、脂肪として体内に蓄積される」と考えられています。これが太る原因です。

しかし、実は脂質や糖分の摂りすぎが腸内細菌(私たちのお腹の中にいる数多くの細菌)に影響することがわかっています。そして、「脂質を摂りすぎると腸内細菌のバランスが"肥満型"になってしまい、さらに太りやすくなる」ということもわかってきました。

そこで今回は、なぜ脂質や糖分の摂りすぎが腸内細菌バランスを「肥満型」に変えるのか解説していきます。また、特に注意すべき油の種類や食材についても紹介します。今回の記事を読むことで、ダイエットにおいて注意しなければならない油や糖分について理解が深まるはずです。

【筆者】山口 幸三

  • 2003年:北海道大学農学部 卒業
  • 2005年:北海道大学大学院農学研究科 修士課程 修了
  • 2005年~2017年:協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)
    がんや慢性腎不全の治療薬研究に従事。また、腸内細菌に関するプロジェクトを社内で初めて立ち上げ、プロジェクトサブリーダーとして研究を牽引。
  • 2019年:株式会社フローラボ設立
腸内環境に関する専門知識を背景に、腸活関連の事業を推進。健康食品の開発・販売、ファスティングや腸活ダイエットのサポート、事業者向け腸活勉強会などが主な仕事。企業などから講演を依頼されることもある。

脂質の消化・吸収に重要な「胆汁酸」


脂質の消化・吸収には「胆汁」(たんじゅう)という消化液が関わっています。まずは、この胆汁の働きを解説しておきます。

胆汁の働き

  • 胆汁は脂質の消化・吸収を助けるために十二指腸に分泌される消化液です。
  • 胆汁の作用を受けた脂質は、脂肪分解酵素(リパーゼ)によって分解されます
  • 分解された脂質は小腸から吸収されます。


胆汁の吸収


  • さまざまな栄養素が小腸から吸収されるのと同じように、役割を終えた胆汁も小腸から吸収されます。
  • ただし、すべての胆汁が吸収されるわけではありません。胆汁の一部は大腸まで到達し、大腸からも吸収されます。


このように、一部の胆汁は「腸内細菌の住み家である大腸」まで到達します。そして、大腸に到達した胆汁が腸内細菌バランスを変えることになるのです。


胆汁が腸内細菌バランスを「肥満型」に変える


先程は詳しく述べませんでしたが、実は胆汁には殺菌作用があります。そのため、胆汁の分泌量が増えると腸内細菌を殺してしまうことがあります。


ただ、中には胆汁の刺激によって増殖する悪玉菌もいます。つまり、胆汁によって腸内細菌のバランスは大きく変化するのです。


そして、「胆汁の影響でやせ菌が減って、デブ菌が増える」という研究成果が2016年度の腸内細菌学会で報告されています。そして、この「やせ菌が減ってデブ菌が増えている状態」こそ肥満型の腸内細菌バランスなのです。


<参考記事>
肥満の原因は「腸内細菌」である


腸内細菌のバランスが肥満型になると、食品からのエネルギー吸収効率が高まります。例えば、本来ならエネルギー源として吸収されない食物繊維なども、消化・吸収されるようになります。そのため、肥満型の腸内細菌バランスの人は、そうでない人よりも太りやすくなってしまうのです。


ここまでをまとめると、「脂質の摂取 → 胆汁の分泌量が増える → 腸内細菌バランスが肥満型になる → 太りやすくなる」という流れで肥満体質になってしまいます。これを避けるためには胆汁の量を減らすような食生活を心がけることが大切です。


常温で固体の脂(ラードやバター)に注意


ここまでの説明で、脂質と肥満の関係について「腸内環境」の観点からもある程度理解できたと思います。最後に、特に注意すべき油の種類について解説しておきます。


特に注意が必要なのは、ラードやバターなどの常温で固体の脂です。なぜなら、これらを摂取するとたくさんの胆汁が分泌されるからです。


さらに糖分が追加されると最悪です。なぜなら、固体の脂と糖分をセットで摂取すると、胆汁の分泌量が2倍近くに増えるからです。このことは、下記のようなマウス(ねずみの一種)を用いた研究で明らかにされています。

  • 液体の油を食べさせたマウスをマウスAとします。
  • 固体の脂を食べさせたマウスをマウスBとします。
  • マウスAのとマウスBに糖分を同時に与えました。すると、マウスBの胆汁の量はマウスAの約1.7倍になりました。

(参考文献:動脈硬化



このように、常温で液体の油よりも常温で固体の脂のほうが胆汁の分泌量を増やします。特に、糖分を組み合わせるとより多くの胆汁が分泌されるので、「固体の脂と糖分」は最悪の組み合わせであることがわかります。


したがって、ダイエットをするときはラードやバターなどの常温で固体の脂と糖分を同時に摂らないように注意してください。


まとめ

  • 胆汁は、脂質を消化・吸収を助ける消化液である。
  • 十二指腸に分泌された胆汁の一部は、腸内細菌の住み家である大腸に到達する。
  • 大腸に到達した胆汁の影響で、腸内細菌バランスが「肥満型」に変化する。
  • 常温で固体の脂(ラードやバターなど)と糖分を同時に摂取すると、より多くの胆汁が分泌される。その結果、腸内細菌バランスが肥満型になる。

今回述べてきたように、脂質(特に固体の脂)を摂取すると、腸内細菌バランスが「肥満型」に変わって、より太りやすくなります。糖分を同時に摂取するとさらに太りやすくなるため、ダイエットをするときは、固体の脂や糖分に十分に注意するようにしてください。


また、腸内環境を改善して適切な腸内細菌バランスにすることも大切です。今回は詳しく述べませんでしたが、ビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌にはダイエット効果があるので、このような善玉菌を摂取することも検討してみるとよいでしょう。



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