便秘の人が外食するときに注意するべき3つのポイント

この記事のポイント


便秘で悩んでいる人の中には、「昼と夜はいつも外食」という人がいます。特に、一人暮らしのサラリーマンやOLにはそういう人も多いです。

ただ、「外食しているから便秘になる」というわけではありません。たとえ外食が続いていても、メニュー、食べ方、自宅で食べる朝食などに注意することで便秘を少しずつよくしていくことはできます。

そこで今回は「便秘の人が外食するときに注意するべき3つのポイント」について解説していきます。特に仕事が忙しくて外食が多い人は、今回の記事を便秘解消に役立ててください。


【筆者】山口 幸三

  • 2003年:北海道大学農学部 卒業
  • 2005年:北海道大学大学院農学研究科 修士課程 修了
  • 2005年~2017年:協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)
    がんや腸内細菌に関するプロジェクトのサブリーダーとして研究を牽引。
  • 2019年:株式会社フローラボ設立
腸内環境に関する専門知識を背景に腸活関連の事業を推進。現在は、腸内フローラ解析にもとづいたパーソナル腸活(その人に合った腸活)のサポート、腸活ダイエットのサポート、腸活勉強会の主催などを行っている。


冒頭にも述べたとおり、「外食しているから便秘になる」というわけではありません。ただ、外食が多い人は食事や生活リズムが乱れがちなのも事実です。

外食が多い人は「腸によいメニューを選ぶ」「食べる時間と食べ方に気を付ける」「朝に食物繊維をしっかりとる」の3点を意識するようにしましょう。この3点を実践することで、外食が多くても便秘を少しずつよくしていくことができます。それでは順に詳しく確認していきましょう。


1.外食するときのポイント①:腸によいメニューを選ぶ


当たり前のことかもしれませんが、食事が偏らないようにするため、丼物や麺類などの単品メニューは避けましょう。そして、できるだけ多くの食材が使われている定食メニューを選んでください。食物繊維や発酵食品を意識したメニュー選びを心がけることが大切です。


1-1.水溶性食物繊維が豊富なメニューを選ぶ

水溶性食物繊維(水に溶ける食物繊維)には「う〇ちを柔らかくする」という働きがあります。そのため、便秘の人はぜひ積極的にとるようにしてください。

水溶性食物繊維は海藻、納豆、オクラや山芋などのネバネバ野菜、麦ごはん、さつま芋、ゴボウ、菊芋などにたくさん含まれるため、これらの食材を使ったメニューを選ぶとよいでしょう。(菊芋はあとで出てくるので覚えておいてください)


水溶性食物繊維が多い食材(例)


また、その他の野菜(キャベツやタマネギなど)やフルーツがあればなお良いです。特にタマネギやフルーツには善玉菌のエサとなるオリゴ糖が豊富に含まれています。食物繊維だけでなくオリゴ糖も取れるので、腸にとてもよい食材といえます。

メニューを選ぶ際は、なるべくこれらの食材が使われているものを選びましょう。


1-2.納豆やぬか漬けなどの発酵食品を追加する

納豆やぬか漬けなどの発酵食品を選べるなら、ぜひメニューに追加してください。

納豆には納豆菌が含まれています。納豆菌は乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌とは別の菌ですが、「おなかの中で善玉菌を増やす」という働きがあります。上述のとおり、水溶性食物繊維も豊富なのでとても良質な腸活食材と言えます。

また、ぬか漬けには乳酸菌や酪酸菌、酵母などの善玉菌がたくさん含まれています。野菜を漬けているので食物繊維やビタミンなども確保できます。

<参考記事>
納豆は最強の腸活食材!納豆菌、食物繊維、大豆タンパク質の効果を解説

ぬか漬けは植物性乳酸菌の宝庫!ヨーグルトとの違いを詳しく解説



さらに、デザートとしてヨーグルトを追加できれば、メニューとしては完璧です(乳製品が合わない人もいるので、その場合は食べなくてOK)。これらの発酵食品を取り入れることで、おなかの中の善玉菌を増やすことができるでしょう。


腸によい発酵食品


2.外食するときのポイント②:食べる時間と食べ方に気をつける


盲点になりがちですが、食べる時間や食べ方も大切です。

2-1.夕食は寝る3時間前までに済ませる

仕事の関係で食べる時間が乱れるという人もいますが、なるべく夕食は早めに済ませるようにしましょう。少なくとも寝る3時間前には食べ終え、その後は固形物を食べないように心がけてください。

なぜなら、寝るときに胃の中に食べ物が残っていると、消化管を掃除してくれる「モチリン」というホルモンが働くことができないためです。モチリンをしっかり働かせるためにも、就寝3時間前には夕食を食べ終え、その後は固形物を避けるようにしてください。

<参考記事>
寝る前に食べると「モチリン」の働きが弱くなって便秘になる?!



2-2.ゆっくりと楽しみながら食べる

あまり関係ないと思われがちですが、「ゆっくり楽しみながら食べる」ということも大切です。

落ち着いてゆっくり食べることにより、副交感神経が働くようになります。副交感神経には「腸の動きを活発にする」という役割があるため、ゆっくりリラックスして食べることで便秘に効く可能性があります。

さらに、楽しみながら食べることも副交感神経を優位にしてくれます。外食するときでも仲のよい友人と食事をして気分転換するようにしましょう。一人で外食するときであっても、音楽を聞いたりテレビを見たりしながらなるべくリラックスした状態で食べてください。


食事のときはリラックスする


3.外食するときのポイント③:朝に食物繊維をしっかりとる


ふだん外食する人であっても、朝は自宅で食べるのではないでしょうか? この自宅で食べる朝食がとても大事です。ポイント①で「水溶性食物繊維が豊富なメニューを選ぶ」と述べましたが、自宅で食べられるなら朝のうちにたくさん食べてしまいましょう。

これに関してはとても興味深い研究データが報告されています。「夜に水溶性食物繊維をとるよりも、朝にとった方が便秘解消しやすい」のです。

これは2020年に論文として報告されています(参考文献:Nutrients。この内容を簡単にまとめると、、、

  • 便秘の人を7名集めて一週間普通の食事をしてもらいました。
  • 7名を4名と3名の2つのグループに分けました。
  • グループA【朝食グループ】:朝食前に菊芋パウダーを5グラム飲みました。これを一週間続けました。
  • グループB【夕食グループ】:夕食前に菊芋パウダーを5グラム飲みました。これを一週間続けました。
  • 一週間後、便秘の状況を確認しました。
※被験者が少ないのが気になりますが、、(汗)ただ、下記に示すとおり、それぞれの傾向は読み取れます。

各グループの便秘の状況を調べ、便秘スコア(便秘が重いほど値は高くなる)で評価したのが下のグラフです。このグラフからは、朝食グループにおいて便秘が改善していることが読み取れます。


食物繊維は朝とったほうがよい


このように、菊芋パウダーを同じ量飲むにしても、夜よりも朝に飲んだ方が便秘解消には効果的なのです。外食が多い人であっても朝は自宅で食べると思いますので、しっかりと水溶性食物繊維を意識した朝食をとるように心がけましょう。


4.まとめ

  • 外食するときでも水溶性食物繊維やオリゴ糖が豊富なメニューを選ぶ。また、サイドメニューなどで発酵食品を追加するとよい。
  • 外食するときでも寝る3時間前には夕食を済ませるようにする。また、夕食後は固形物を食べるのを控える。
  • 外食するときは友人と食べたり音楽を聴きながら食べるなど、リラックスするよう心がける。
  • 水溶性食物繊維は夜食べるよりも朝食べた方が便秘には効果的である。したがって、自宅で食べる朝食でしっかりと水溶性食物繊維を確保する。
今回は「便秘の人が外食するときに注意するべき3つのポイント」について述べてきました。外食が続いたとしてもメニューの選び方、食べ方、自宅で食べる朝食などに注意すれば便秘解消につながるはずです。最初は慣れないかもしれませんが、まずはここに書いたことを意識して普段の食生活に取り入れてみてください。



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