赤ちゃんの腸内細菌と母乳(ミルク)や離乳食の影響

この記事のポイント

私たちのお腹の中には100兆個以上もの腸内細菌がいます。また、生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中にも、数は少ないですが腸内細菌がいます。では、この腸内細菌はいったいどこからやってくるのでしょうか?

今回は、赤ちゃんの腸内細菌について解説しながら食生活の重要性を述べていきます。これらについて理解することは、私たちの子供や私たち自身の腸内環境を整える上でとても大切です。この機会にぜひ理解を深めてみてください。


【筆者】山口 幸三

  • 2003年:北海道大学農学部 卒業
  • 2005年:北海道大学大学院農学研究科 修士課程 修了
  • 2005年~2017年:協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)
    がんや慢性腎不全の治療薬研究に従事。また、腸内細菌に関するプロジェクトを社内で初めて立ち上げ、プロジェクトサブリーダーとして研究を牽引。
  • 2019年:株式会社フローラボ設立
腸内環境に関する専門知識を背景に、腸活関連の事業を推進。健康食品の開発・販売、ファスティングや腸活ダイエットのサポート、事業者向け腸活勉強会などが主な仕事。企業などから講演を依頼されることもある。


1.腸内細菌は「母から子への贈り物」

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるとき(=胎児のとき)、赤ちゃんには腸内細菌がいません。つまり、胎児のときは無菌状態なのです。

胎児は無菌状態

その後、産道を通って生まれてくるときに、産道に付着している母親の腸内細菌を譲り受けると考えられています。

また、出産の際に脱糞してしまう母親も少なくないため、母親のうんちと一緒に生まれる赤ちゃんもいます。そうではなくても肛門の近くから生まれてくるため、生まれる瞬間に母親の腸内細菌を譲り受けると考えられているのです。

新生児の腸内細菌

このように、赤ちゃんは母親から腸内細菌を譲り受けています。そのため、赤ちゃんの腸内細菌は「母から子への贈り物」と言われています。

妊娠中の女性や小さいお子さんを持つお母さんにとってはびっくりする内容かもしれませんね。ただ、これは腸内細菌研究者の間ではよく知られている事実です。そのため、妊娠中はお母さん自身の腸内環境を整えておくことがとても大切なのです。

2.帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌

先程、「赤ちゃんは産道を通って生まれてくるときに母親の腸内細菌を譲り受ける」と述べました。では、帝王切開で生まれる場合はどうでしょうか?

実は、帝王切開で生まれた赤ちゃんの場合、医師や助産師の皮膚に付着している細菌が腸内細菌として見つかります。その後、母乳やミルクを飲むことで腸内細菌のバランスは変化していきますが、出産直後の腸内細菌は自然分娩とは大きく異なるのです。

出産方法で赤ちゃんの腸内フローラは変わる
(図はBaby Destinationより引用)

ここで一つ気になる学術論文を紹介したいと思います。それは「帝王切開で生まれた子供は、自然分娩で生まれた子供よりも、喘息や炎症性腸疾患などの病気にかかりやすい」という論文です。また、似たような論文は他にも発表されています(参考文献:Pediatrics

この原因は解明されていませんが、「赤ちゃんのときの腸内細菌が関係しているのではないか?」と考える研究者も多いです。そのため、「帝王切開で生まれた赤ちゃんに産道の分泌液を塗りつける」という研究をしている人もいます。

もし、赤ちゃんの腸内細菌に原因があるのであれば、早めに健全な状態にすることが病気の予防につながります。

そこで、帝王切開で生まれた赤ちゃんに私たちがしてあげられる対策としては次の2つが考えられます。
① 赤ちゃんにしっかりと母乳を飲んでもらう
② 粉ミルクの場合は、赤ちゃん用のオリゴ糖を少し混ぜてあげる

母乳にはビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖がたくさん含まれています。したがって、母乳を飲むことでお腹の中の善玉菌を増やすことができます。また、粉ミルクの場合はオリゴ糖が不足することがあるので、市販のオリゴ糖を少し混ぜてあげるとよいでしょう。

オリゴのおかげ

いずれにしても、妊娠中の食生活が赤ちゃんに影響を与えるのは事実です。ミネラルや葉酸を積極的に摂取する妊婦さんも多いですが、その際には、食物繊維やオリゴ糖などを一緒に摂って、腸内環境を整えることも心がけてみてください。

3.腸内細菌のバランスは食事によって変化する

腸内細菌が「母から子への贈り物」だからといって、赤ちゃんの腸内細菌がずっと同じというわけではありません。実際、私と私の母親の腸内細菌は大きく異なるはずです。

もし仮に、私と私の母親の腸内細菌がまったく同じであるなら、おならやうんちの臭いもかなり似ているはずです。しかし、その臭いは違うはずです(違っていてほしいです)。

なぜなら、腸内細菌は食生活によって変化するからです。実際、赤ちゃんの腸内細菌は離乳食を境に大きく変化します。「離乳食を食べ始めると、赤ちゃんのうんちが臭くなった」という経験をした親御さんも多いと思います(私も経験しました)。

離乳食で赤ちゃんの腸内環境は激変する

離乳食が始まるまでは母乳やミルクだけを飲むので、赤ちゃんのお腹の中はビフィズス菌でいっぱいです。ところが、離乳食をきっかけに食生活が変わることで、腸内細菌のバランスが変化するのです。

このように、食事によって腸内細菌のバランスは変化します。生まれた直後は母親の腸内細菌を譲り受けますが、ずっとそのままの腸内環境が続くわけではないのです。

4.まとめ

  • 自然分娩で生まれた赤ちゃんは、生まれてくるときに母親の腸内細菌を譲り受ける。そのため、腸内細菌は「母から子への贈り物」と言われている。
  • 母乳やミルクを飲むことで、赤ちゃんのお腹の中ではビフィズス菌が増える。
  • 離乳食をきっかけに、赤ちゃんの腸内環境は大人の腸内環境に変わっていく。このことから、「食事によって腸内環境は変わる」ということがわかる。

今回は、赤ちゃんの腸内細菌について解説するとともに、「食事によって腸内環境が変わる」ことを説明してきました。

腸内細菌が「母から子への贈り物」であることを考えると、妊婦さん自身が腸内環境を整えておくことはとても大切です。また、たとえ母親の腸内環境が悪かったとしても、食事しだいで子供の腸内環境は変わります。このことを理解した上で、日々の食生活に気をつけるようにしてみてください。



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