水溶性食物繊維たっぷりの「トロトロ丼」で腸内環境を改善できる

あなたは普段から「食物繊維」を意識した食事をしているでしょうか?

厚生労働省は、「成人男性は1日20g以上」「成人女性は1日18g以上」の食物繊維の摂取を推奨しています。ところが、日本人の平均摂取量は1日14gです。特に20代女性においては、12gほどしか摂取できていません。

今回は食物繊維の特徴と重要性について解説したあと、手軽に食物繊維を摂取できる「トロトロ丼」のレシピを紹介していきます。これは私と妻の二人で考え出した我が家オリジナルのメニューになります。あなたも普段の献立を考える上で参考にしてみてください。

食物繊維の種類

このサイトを読んでいる人であれば知っているかもしれませんが、食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。

「不溶性食物繊維」は水に溶けない食物繊維のことです。サツマイモの繊維質などをイメージするとわかりやすいと思います。不溶性食物繊維には、「腸壁を刺激してぜん動運動(食べた物を肛門方向へと移動させる運動)を活発にする」という働きがあります。

一方、「水溶性食物繊維」は水に溶ける食物繊維のことです。オクラのネバネバ成分や昆布のヌメヌメ成分をイメージするとわかりやすいでしょう。水溶性食物繊維の働きは後述するのでここでは省略します。

食物繊維を摂取するときは「不溶性:水溶性=2:1」のバランスで摂取することが推奨されています。なぜなら、このバランスのときに便秘解消効果がもっとも大きくなるからです。

ただ、普段の食事で食物繊維のバランスを考えることはほぼ不可能です。そこで、普段は水溶性食物繊維を意識して食べるように心がけましょう。なぜなら、ほとんどの人は水溶性食物繊維のほうが不足しているからです

水溶性食物繊維は上述のネバネバ系食材、フルーツ、ゴボウ、麦ごはんなどに多く含まれています。普通の野菜サラダだけでは、水溶性食物繊維を十分に摂取できないことを覚えておきましょう。

水溶性食物繊維には3つの重要な働きがある

水溶性食物繊維を摂取すると、腸にとってどんなよいことがあるのでしょうか?

水溶性食物繊維には主に3つの働きがあります。それは、「うんちを柔らかくする」「糖質や脂質の吸収を抑制する」「善玉菌を増やす」という働きです。それぞれ簡単に解説していきます。

うんちを柔らかくする
これはイメージしやすいと思います。水溶性食物繊維は水に溶けるとドロドロになります。そして、その状態で腸の中を通過するため、うんちを柔らかくできるのです。

糖質や脂質の吸収を抑制する
水溶性食物繊維を摂取すると血糖値や悪玉コレステロール値の上昇を防いでくれます

これは、水溶性食物繊維が糖質や脂質と結びつく性質があるからです。水溶性食物繊維と結びついた糖質や脂質は、体内に吸収されずにそのままうんちとして出ていくのです。

善玉菌を増やす
水溶性食物繊維はビフィズス菌などの善玉菌のエサになります。そのため、お腹の中で善玉菌を増やすことができるのです。

お腹の中で「善玉菌を育てる」というイメージを持つと、水溶性食物繊維を摂取することが楽しくなってくるかもしれません。

なお、水溶性食物繊維を食べた善玉菌は、おなかの中で「体によい成分(短鎖脂肪酸といいます)」を作ってくれます。この成分には「肥満を予防する」という働きがあるのです

「糖質や脂質の吸収を抑制する」という作用も合わせて考えると、水溶性食物繊維にはダイエット効果があることがわかると思います。

このダイエット効果を発見したのは東京農工大の木村郁夫先生です。先生はたまにテレビに出ることもあるので、知っている人もいるかもしれません(ちなみに私は研究者だった頃に木村先生と、このダイエット効果について議論させてもらったことがあります)。

このように、水溶性食物繊維は腸内環境にとってかなり良い働きをしてくれるのです。このことを認識したうえで、以下のレシピを読み進めていってください。

水溶性食物繊維たっぷりの「トロトロ丼」のレシピ

<食材>
  • 白米(分量は家族の人数に合わせてください)
  • もち麦(白米の1/4量)
  • オクラ(1人2~3本)
  • アボガド(1人1/4個)
  • 納豆(1人1パック)
  • マグロの切り身(1人3切れ)
<作り方>
  1. 白米ともち麦を4:1の割合で混ぜて炊く
  2. オクラを板ずりしてからさっと茹でたあと、適当な大きさに切る
  3. アボガドの皮と種を取って1cm角に切る
  4. 炊きあがったご飯の上に、オクラ、アボガド、納豆、マグロの切り身を乗せる

これが我が家オリジナルの「トロトロ丼」です。少量の醤油をかけて食べてみてください。かなりおいしいはずです。


トロトロ丼,水溶性食物繊維

トロトロ丼に使った食材について

続いて、各食材の腸内環境への影響と食物繊維の含有量について説明していきます。
(白米とマグロの切り身は腸内環境にあまり影響しないので省略しています)

食材(1人分の分量)
不溶性食物繊維
水溶性食物繊維
もち麦(約15グラム)
0.6グラム
1.4グラム
オクラ(約25グラム)
0.9グラム
0.4グラム
アボガド(約50グラム)
1.8グラム
0.9グラム
納豆(約50グラム)
2.2グラム
1.2グラム
合計
5.5グラム
3.9グラム

もち麦
もち麦は大麦の一種です。麦ごはんに使われている「押し麦」の仲間だと思ってください。

もち麦には玄米の10倍以上もの水溶性食物繊維が含まれています。スーパーに売られていますが、もしなければネット通販などで購入することができます。

オクラとアボガド
オクラもアボガドも水溶性食物繊維が豊富な食材として有名です。特に便秘の人は積極的に食べましょう。

納豆
納豆は腸にとって非常に良い食材です。食物繊維だけでなく、納豆菌も含まれているからです。

納豆菌には「お腹の中で乳酸菌を増やす」「腐敗物質が作られるのを防ぐ」という腸に良い作用があります。

漬け物を添えるかデザートにヨーグルトを食べると完璧

ここまで読んで気づいた人もいるかもしれませんが、トロトロ丼には乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が含まれていません

腸内環境を整える上で大事なことは、「善玉菌のエサ」と「善玉菌」を両方食べることです。そのため、乳酸菌が豊富な発酵食品をメニューの中に取り入れるようにしてください

漬物であれば「ぬか漬け」がおススメです。ぬか漬けには、乳酸菌だけでなく「酪酸菌」という別の善玉菌も含まれているからです。

またヨーグルトの場合は、できれば無糖無脂肪で、容器に「ビフィズス菌」の文字があるものを選びましょう。ビフィズス菌はすべてのヨーグルトに含まれているわけではないので、容器を見て確かめるようにしてください。

ここまで述べてきたように、水溶性食物繊維は腸内環境を整える上で非常に重要な成分です。それにも関わらず、多くの人は1日の摂取量が足りていません。

今回紹介した「トロトロ丼」であれば、簡単においしく水溶性食物繊維を摂取することができるで、献立を考える際には参考にしてみてください。

まとめ

    • 食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類がある。

    • 不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1のバランスで摂取することが推奨されている。ただ、普段の食事では水溶性食物繊維が不足しがちなので、水溶性食物繊維を含む食材を意識的に食べるようにする。

    • 水溶性食物繊維には「うんちを柔らかくする」「糖質や脂質の吸収を抑制する」「善玉菌を増やす」という3つの働きがある。

    • トロトロ丼を食べることで、手軽においしく水溶性食物繊維を摂取することができる。

  • ぬか漬けやヨーグルトなどの発酵食品と組み合わせることで、腸内環境はよりよい状態になっていく。



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