大麦に含まれる食物繊維の特徴:水溶性食物繊維が豊富

大麦は小麦ほど馴染みのある食材ではありません。しかし、腸内環境という観点で考えると、無視することのできない食材です。

「大麦を食べたことがない」という方もいるかもしれませんが、実は気付かないうちに食べている場合があります。例えば、「麦ご飯」を食べたことはないでしょうか? 麦ごはんには大麦が含まれているのです。また、朝食で食べることの多い「シリアル」の原料に大麦が使われる場合もあります。

上述のとおり、大麦は腸内環境を整える上でとても重要な食材です。なぜなら、大麦には良質な食物繊維が豊富に含まれるからです。

ここでは、白米や玄米と比較しながら、大麦に含まれる食物繊維の特徴を整理していきます。食物繊維の摂取不足は腸内環境を悪化させ、便秘や肌荒れなどの原因となります。あなたも普段の食事に「大麦」を取り入れて、腸内環境を整えてみましょう。

食物繊維の種類とバランス

大麦に含まれる食物繊維について解説する前に、食物繊維の種類について簡単に記載します。

食物繊維には水溶性食物繊維不溶性食物繊維の二種類があります。

水溶性食物繊維は、「水に溶けてドロドロになる食物繊維」のことで、便を柔らかくする働きがあります。また「糖質の吸収を緩やかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑える」、「血中コレステロールを下げる」などの役割があります。そのため、大変重要な栄養素と考えられています。

水溶性食物繊維を多く含む食材としては、海藻やこんにゃく、オクラなどのネバネバ系の野菜、そして大麦が挙げられます。

一方、不溶性食物繊維は「水に溶けない食物繊維」のことで、「便のかさを増やして腸壁を刺激し、腸の働きを高める」という役割があります。不溶性食物繊維は、キャベツやレタスなどの野菜や豆類に多く含まれます。

野菜をたくさん食べる食生活は確かに体に良いです。ただ、気を付けていないと不溶性食物繊維に偏った食生活になる場合があります。一般的には、「水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2」の割合で摂取することが推奨されているため、水溶性食物繊維の摂取も意識する必要があります。

※ 特に便秘やコレステロールに悩んでいる方の場合は、水溶性食物繊維を積極的に摂取しましょう

ここまで記載した「食物繊維の種類とバランス」を踏まえた上で、大麦の食物繊維の特徴を述べていきます。

大麦に含まれる食物繊維の質と量

大麦に含まれる食物繊維の特徴は二つあります。それは、「食物繊維の量が圧倒的に多いこと」と「水溶性食物繊維の割合が高いこと」です。

それを表したのが、以下の表です。

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※ 「押し麦」は麦ごはんに利用される最も一般的な大麦です。「もち麦」はダイエットに効果的とされる大麦です。「発芽大麦」は食物繊維以外の栄養素も豊富に含む大麦です。いずれも米に混ぜて炊飯器で炊くだけで、手軽に調理できます。

この表からわかる通り、押し麦、もち麦、発芽大麦は、いずれも白米や玄米より多くの食物繊維を含んでいます。その総量は、なんと白米の19倍以上、玄米の3倍以上です。

また大麦は、「水溶性食物繊維の割合が高い」ことがわかります。発芽大麦の場合は、発芽するときのエネルギーとして水溶性食物繊維が消費されるため、押し麦やもち麦ほど高くありません。それでも、玄米と同程度の割合で水溶性食物繊維が含まれているのです。

世の中にある食材のほとんどは、水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維を多く含んでいます。そのため、大麦(押し麦ともち麦)は、「水溶性食物繊維の割合が高い貴重な食材」ということができます。

上述の通り、普段の食生活では不溶性食物繊維に偏る場合があります。しかし、腸内環境を整えるためには、水溶性食物繊維を豊富に含む食材を意識して摂取する必要があります。実際我が家では、(2016年現在)2歳になる息子も含めて、ほぼ毎晩もち麦を混ぜたご飯を食べています。

健康食として玄米を取り入れている方も多いと思いますが、私は大麦をお勧めします。あなたも普段の主食に大麦を取り入れて、腸内環境を整えてみましょう。

<追記>
厚生労働省は、「成人女性の場合、1日18グラム以上」、「成人男性の場合、1日20グラム以上」の食物繊維の摂取を勧めています。この量を摂取するためには、大麦だけに頼らず、他の食材からも意識して食物繊維を摂取するように心がけてください。



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