オリーブオイルが便秘に効く?!その理由と摂取するときの注意点とは

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この記事のポイント


「オリーブオイルが便秘に効く」ということを聞いたことはないでしょうか?

オリーブオイルは「天然の便秘薬」と呼ばれることもあるくらい、便秘に対して有効であることが知られています。実際、便秘外来クリニックの医師もオリーブオイルを推奨しているほどです。

そこで今回はオリーブオイルが便秘に効果的な理由や摂取するときの注意点などについて詳しく解説しています。便秘の人はオリーブオイルを有効活用して便秘解消に役立ててください。


【筆者】山口 幸三

  • 2003年:北海道大学農学部 卒業
  • 2005年:北海道大学大学院農学研究科 修士課程 修了
  • 2005年~2017年:協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)
    がんや腸内細菌に関するプロジェクトのサブリーダーとして研究を牽引。
  • 2019年:株式会社フローラボ設立
腸内環境に関する専門知識を背景に腸活関連の事業を推進。現在は、腸内フローラ解析にもとづいたパーソナル腸活(その人に合った腸活)のサポート、腸活ダイエットのサポート、腸活勉強会の主催などを行っている。


1.オリーブオイルに含まれる脂質「オレイン酸」の特徴


オリーブオイルにはさまざまな種類の油の成分が含まれています。その中でも「オレイン酸」という成分がもっとも多く含まれています。

オレイン酸は基本的には「体に良い油」と認識しておいてください。血液中の悪玉コレステロール値を下げたり、善玉コレステロール値を上げたりする働きがあり、動脈硬化や心疾患の予防に効果的だからです。さらに、今回のテーマである「便秘に効く」という特徴もあります。このように、オレイン酸にはさまざまな体によい働きがあります。

オレイン酸の特徴


2.オレイン酸が便秘に効果的な理由


オリーブオイルに含まれるオレイン酸には「小腸で消化・吸収されにくく大腸まで届きやすい」という性質があります。そのため、腸を刺激して腸管運動(腸の収縮運動)を活発にしてくれます。

また、小腸を通過したオレイン酸はう〇ちと適度に混ざりあうことによって、う〇ちの滑りがよくなると考えられています。つまり、う〇ちの潤滑油として働くことにより、排便を促してくれるのです。

このように、オレイン酸は「小腸を通過して大腸を刺激する」「う〇ちと混ざりあって潤滑油として働く」という二つの作用で便秘に効くと考えられています。

(※「腸を刺激する」と表現していますが、刺激性下剤と違って依存性や副作用はありません)

オレイン酸が便秘に効く理由


3.オリーブオイルの摂取方法


次にオリーブオイルの飲み方について紹介していきます。


3-1.調理の仕方・食事の例

オリーブオイルは加熱調理せずにそのまま摂取したほうが効果的です。オレイン酸は酸化されにくい成分ですが、高熱にさらされると酸化してしまう可能性が高くなるからです。

私はよくオリーブオイルをパンにつけたり、サラダにかけたりして食べていました。納豆に混ぜることもあります。サラダや納豆には食物繊維が含まれるので、便秘解消の効果をより得やすいでしょう。

「納豆に混ぜる」と言うと驚く人もいますが、まったく問題ありません。納豆の粘りと香りが強いので、オリーブオイルが混ざっていても風味はまったく変わりません。また、私は試したことがありませんがヨーグルトに混ぜる人もいます。

さらに「干し柿にかけて食べる」という食べ方が某テレビ番組で紹介されていました。そのテレビ番組の検証実験によると、便秘の人9名が「スプーン一杯のオリーブオイル+干し柿」を一週間食べ続けたところ、なんと8名もの人の便秘が改善されていました。

テレビ番組なのでどこまで本当かはわかりませんが、干し柿には食物繊維が豊富に含まれているので、試してみる価値はあると思います。


便秘の人におススメの食べ方(サラダ、納豆、ヨーグルト、干し柿にかける)

<ひとくちメモ>

※便秘とは関係ないですが、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)を含む食材にかけるのもおすすめ。脂溶性ビタミンは油と一緒に摂取することで吸収されやすくなるからです。

※脂溶性ビタミンを多く含む食材:ニンジン、春菊、小松菜、ほうれん草、マグロ、イワシ、カツオ、シジミ、納豆、落花生など


3-2.摂取量の目安

1日に大さじ2~3杯程度を摂取しましょう。オレイン酸は油の成分なので、とりすぎると狭心症や心筋梗塞などの病気のリスクが上がってしまいます。1日2~3杯程度を目安にしておいてください。


3-3.いつ摂取するのがよい?

オリーブオイルを摂取するタイミングは「朝食前」が推奨されています。朝は腸管運動がもっとも活発なので、そこに合わせて取り入れることで便秘解消効果が期待できるからです。

一方で、「継続する」「習慣化する」という観点で考えると、朝にこだわる必要もありません。パン、サラダ、納豆、干し柿など、一緒に食べるものに合わせて、あなたが継続しやすいタイミングで食事に取り入れるとよいでしょう。


4.エキストラバージンオリーブオイルを選ぶ


オリーブオイルには「エキストラバージンオリーブオイル」や「ピュアオリーブオイル」などの種類がありますが、おすすめはエキストラバージンオリーブオイルです。

エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実をそのまま絞ったものです。加熱処理や化学的な処理は何もされていません。そのため、ピュアオリーブオイルと比べて「酸化されていない」「ポリフェノールが多く含まれる」「風味がよい」などの特徴があります(※加熱調理に使うのであればエキストラバージンにこだわる必要はありません)。

エキストラバージンオリーブオイルの場合は、容器に"Extra Virgin"のように記載されているので確認してから買いましょう。(一般的に「エキストラバージン」の表記のないオリーブオイルは、ピュアオリーブオイルとされています)


エキストラバージンオリーブオイルとピュアオリーブオイルの写真
(画像はAmazonより引用)


5.エキストラバージンオリーブオイルを選ぶときの注意点


最後に、エキストラバージンオリーブオイルを選ぶときの注意点を書いておきます。

イタリアでは「市販されているエキストラバージンオリーブオイルの7割が偽造品」と言われています。業者が利益を得るために、安い油を混ぜているのです。しかも、そのような粗悪品が日本に輸入されていたこともあります(下記のとおり、2016年2月にロイター通信社が報道済み)。




ただ、私たち一般消費者が偽物を見抜くのはなかなか難しいです。そうはいっても偽物を買わされるのは悔しいので、注意するポイントを紹介しておきます。

偽物は「① 他のエキストラバージンオリーブオイルと比べて値段が安い」「② 生産地などの詳しい情報が記載されていない」などの特徴があります。

①に関しては、「1mLあたり3円」が目安になるようです。これより安くても本物のオイルはありますが、いちおうの目安として覚えておくとよいでしょう。②に関しては、単に「イタリア産」と書かれているものよりも、「イタリア産〇〇州」などの生産地情報や生産農家に関する情報も記載されていると信憑性が上がります。

①②を満たす下記のような商品は本物と判断して問題なさそうです。


また、偽物とは関係ありませんが、遮光性のボトル(黒っぽいボトル)に入った商品を選ぶようにしてください。太陽光や蛍光灯の光はエキストラバージンオリーブオイルを劣化させる原因になるからです。


6.まとめ

  • オリーブオイルには便秘解消効果のある「オレイン酸」が豊富に含まれている。
  • オレイン酸には「小腸を通過して大腸を刺激する」「う〇ちと混ざりあって潤滑油として働く」という作用があるため、便秘解消効果が期待できる。
  • オリーブオイルは、エキストラバージンオリーブオイルを加熱調理せずにそのまま摂取するのがよい。その際、サラダや納豆、干し柿などにかけて食べるとよい。
  • エキストラバージンオリーブオイルを選ぶ際は「安くないもの」「生産農家などの情報が詳しく書かれているもの」「遮光性のボトルに入っているもの」を選ぶとよい。
今回はオリーブオイルについて詳しく解説してきました。便秘の方は、「天然の便秘薬」とも呼ばれるオリーブオイルを食事に加えて、便秘解消に役立ててみてください。



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