悪臭に注意:おならの臭いで腸内環境を把握できる

誰しも自分のおならの臭いが気になったことがあるのではないでしょうか? おならが出ない人や無臭のおならしかしないという人はいないと思います。

満員電車の中や人と接する場面などで私たちを悩ませるおならですが、実は腸内環境を把握するための重要なバロメーターでもあります。

においがきついときは基本的には腸内環境が悪化している証拠です。逆に、あまりにおわないときやほとんど屁が出ないときは腸内環境も良好です。

そこで今回はおならと腸内環境の関係について述べていきます。普段の悩みや疑問に思っていることを解消するのに役立ててください。

悪臭を放つガス

おならのにおいは食事の影響を大きく受けます。例えば、焼肉を食べた翌日はおならが臭くなる経験をしたことがあると思います。

私は社会人になりたての頃によくジンギスカンをお腹いっぱいに食べていました。すると翌日は決まって臭いおならが出ていたことを覚えています。

肉の主成分はタンパク質です。タンパク質はアミノ酸からできています。そしてその中にはトリプトファンというアミノ酸が含まれています。このトリプトファンが悪玉菌によってインドールスカトールという腐敗物質に変換されるのです。

特にスカトールは強烈なにおいを発する物質として腸内細菌研究者の間で有名です。実際、私が研究者時代にスカトールを試薬として購入しようとしたとき、「臭すぎる」という理由で上司から止められたほどです。

肉の他に、にらやニンニクなども悪臭のもとです。これらの食品には硫黄を含む成分が含まれています。そのため、悪玉菌によって悪臭のもととなる硫化水素や二酸化硫黄といった物質に変換されるのです。

このような悪臭を放つガスは健康にもあまりよくありません。特にインドールは体内でインドキシル硫酸と呼ばれる成分に変換されます。これは心血管系の疾患や腎疾患を誘発する可能性がある物質なのです。

あまり臭くないガス

肉やにんにくなどとは違って、さつま芋などの食物繊維が豊富な食事をした場合は状況が異なります。

一部の食物繊維は大腸内で善玉菌によって分解されます。そのときもガスが発生するのですが、上記のような悪臭を発する物質ではなく、水素メタンなどのほとんど臭いのないガスです。

臭いにおいを放つ酪酸という物質が作られることもありますが、酪酸はすぐに体内に吸収されるため、おならのにおいにはあまり影響しません。

食物繊維を食べたときに発生するガスのうち、特に水素は体にとって良い影響を与える可能性があります。そのため、腸内の水素ガスの作用を研究している研究者も何人かいます。彼らによると、健康によいとして市販されている「水素水」よりも大きな効果が期待されるそうです。

よく「さつま芋をたくさん食べると臭いおならが出る」といわれることがありますが、さつま芋だけであればあまりにおうことはありません。実際は一緒に食べている肉類やニンニクなどの影響を受けて臭くなっているのです。

腸内環境と口臭の関係

人前などではおならを我慢することもあると思います。それでは、我慢したときにおならがどこに行くか知っているでしょうか?

排出されなかったガスは、大腸の毛細血管から吸収されて、血液の中に取り込まれた後、体内を駆け巡ることになります。「嫁の屁は五臓六腑をかけ巡り」という川柳が江戸時代に歌われていたようですが、当時の人々は我慢したガスが体内に取り込まれることを経験的に知っていたのかもしれません。

血液中に取り込まれたガスは最終的には肺から呼気と一緒に出ていきます。このことに驚く人もたくさんいますが、これは事実です。実際、呼気に含まれるメタンガスを測定することで、便秘の状態を把握しようとする研究が進められているほどです。

このように、我慢したガスが口から出ていくことを考えると、あまり我慢しすぎるのも気持ちの良いものではないと思います。

ここまで述べてきたように、おならのにおいは腸内環境を把握するための一つの指標になります。そのにおいは食事の影響を大きく受けるため、あまりにもきついにおいが続く場合は食生活を見直す必要があります。

このサイトでは腸内環境を整えるための食生活のポイントをまとめているので、他のページも参考にするなどして、腸内環境の改善に役立ててください。



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