便秘のときの考え方と便秘解消のポイント

「2~3日に1回しか出ないのだけど便秘だよね?」「やっぱり毎日出たほうがいいんでしょ?」といった質問を友人から受けることがあります。

腸内細菌の研究をしていた私としてはこのような相談をされるのはうれしいことです。しかし、この質問には簡単に答えられません。おそらく医師に聞いたとしても簡単には答えてもらえないと思います。

なぜなら日々のお通じに関しては「排便のペース」だけでなく「排便時の状態」も重要だからです。

排便時の状態というのは「いきんでいるか?」「スッキリ感はあるか?」などを指します。このような排便時の状態は本人しかわからないため、冒頭の質問には簡単に答えられないのです。

冒頭の例のように、便秘については少し誤解された情報が広がっていることがあります。そこで今回は「便秘のときの考え方」について述べていきます。また最後に、便秘解消のためのポイントについても簡単にまとめています。内容をしっかりと把握して便秘解消に役立ててください。

毎日排便する必要はない

「毎日排便しないと不健康」と考えている人もいますが、決してそういうわけではありません。もちろん何日も出さずに溜め込んでおくのは体によくないです。しかし、便が毎日出ないからといって不健康とか病気というわけでもありません。

そもそも便秘の定義はかなりあいまいです。

例えば、日本内科学会では便秘を「3日以上排便がない状態、または排便があっても残便感がある状態」と定義しています。毎日排便できていてもスッキリしないのであれば「便秘」なのです。

また国際的に著名な消化器の専門家が集まった「ローマ委員会」という組織でも便秘の定義が定められています。その定義は少し複雑ですが、簡単に要約すると「排便が週に3回未満で、排便困難を伴う」となります。

これらの定義からも、便秘かどうかを判断する上では「排便時の状態」が重要であることがわかります。特に「排便後にスッキリしているか」「いきまなくても排便できているか」という2つポイントが重要です。

もちろん毎日排便できていることがベストです。しかし、たとえ2~3日に1回のペースでも、スッと出せて、その後スッキリしていれば問題ないのです。

逆に毎日排便できていても「いきまないと出ない」「排便後もお腹に張りや違和感がある」などの場合は便秘ということになります。

排便の時間は決まっていなくてもよい

生理学的には、一日のうちで朝食後が最も便意を感じやすい時間帯です。

起床後、お腹が空っぽのときに朝ご飯を食べると胃が刺激を受けます。その刺激が腸に伝わることで便意を生じるからです。

ただ、あくまでも生理学的に「朝に便意が生じやすい」というだけのことです。毎朝便意を感じないからといって問題があるわけではありません。お昼休みや午後に排便しても問題ないのです。

そして排便の時間は毎日一定である必要もありません。朝に排便する日があれば、お昼過ぎに排便する日があっても構わないのです。

ただ、便秘で悩んでいる人は、なぜか「朝に出ない」ということを気にする人が多いです。そして、朝無理に出そうとしてトイレにこもってしまう人もいます。

もちろん、排便のリズムを身に付けるために、便意がなくても朝トイレに入ることは推奨されています。そして毎日決まった時間に排便するのがベストなのも事実です。

ただ、そうでないからといって悩み過ぎる必要はないことも理解しておいてください。

排便の悩みでストレスをためないことが何よりも大事である

ここまで述べてきたように「毎日排便しないといけない」「毎日決まった時間に出さないといけない」と考える必要はありません。

むしろ、そのように考えてストレスとなることのほうがよくありません。なぜならストレスは腸内環境に悪影響を与えるからです。

腸と脳は自律神経やホルモンを介して密接につながっています。これを専門用語で「脳腸相関」といいます。そのため、脳がストレスを感じると腸内環境を悪化させてしまいます。その結果、便秘になったり下痢になったりするのです。

実際、ストレスが原因で生じるさまざまな便通異常には「過敏性腸症候群」という病名がつけられているほどです。そして、過敏性腸症候群の中には「便秘型」という型があります。
特に女性は便秘型の過敏性腸症候群になりやすいため、ストレスが原因でさらに便秘が重くなってしまう場合があるのです。

そのため、排便の悩みでストレスを溜めすぎないことが何よりも大事です。

ただそうはいっても、ストレスが溜まってしまうという人もいると思います。そこで最後に「便秘解消のためのポイント」を簡単にまとめます。

便秘解消ためのポイント

便秘解消のために特に重要なポイントを以下に列挙します。

下剤について
  • 下剤の使い過ぎに注意してください。もし下剤を使用する場合は、酸化マグネシウムが有効成分に使われている下剤を使用してください(副作用が少ないので)

サプリメントについて
  • 乳酸菌やビフィズス菌など、さまざまな種類の善玉菌が含まれているサプリメントをおすすめします。また水溶性食物繊維のサプリメントも有効です

食生活について
腸内環境を整えるために、以下のような食材を積極的に摂ってください。
    • 水溶性食物繊維(水に溶ける食物繊維):海藻類、オクラや長芋などのネバネバ系野菜、フルーツ、こんにゃくなど

    • 不溶性食物繊維(水に溶けない食物繊維):さつま芋、野菜(キャベツ、レタスなど)など、ただし水溶性食物繊維のほうが重要です

    • 善玉菌:ヨーグルト、納豆、漬物などの発酵食品

  • オリゴ糖:フルーツ、野菜(タマネギ、ゴボウなど)、はちみつ、大豆など

生活習慣について

自律神経のバランスを整えるために、以下のような生活を心がけてください。

    • 夜更かしはしない。また、睡眠時間は6時間以上を確保したうえで早起きする

    • 朝起きたら朝日を浴びて、コップ一杯の水を飲む

    • 朝食は落ち着いて食べ、便意を感じたら我慢せずにトイレに行く

    • 夕食は就寝する3時間以上前に済ませる

  • 夜はしっかりとリラックスしてからベッドに入る

ポイントを列挙するとこのようになります。これらを意識した生活を1~2週間続けてみることが大事です。各項目の詳細についてはこのサイトに情報を全公開しているのでしっかりと学び取ってください。

今回述べてきたように、日々のお通じに関しては排便のペースよりも「排便時の状態」を重視するようにしてください。そして日々の排便リズムがよくないからといって悩みすぎないようにしてください。

ストレスを溜め込まず、ここに記載したポイントを意識した生活を心がけることで自然と便秘は解消していくはずです。



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