朝に便意を生じやすい理由と便秘予防に効果的な朝の過ごし方

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学生でも社会人でも「朝はぎりぎりまで寝ていたい」と思う人はたくさんいます。そのような人の多くは起床後パンなどをかじりながら支度して、急いで出掛けるという生活を送っています。中には朝食を食べない人もいます。

このような朝の過ごし方が習慣化すると、便秘になる可能性が高くなります。なぜなら、朝は最も排便に適した時間帯だからです。その時間帯に排便せずに、「遅刻してはいけない」と緊張感を持って出かけることは、快適な排便を自ら放棄しているようなものです。

そこで今回は、「朝に便意を生じやすい理由」と「便秘予防に効果的な朝の過ごし方」について述べていきます。また、これらを学ぶ上で必要となる「大腸の基礎」についても簡単に解説しています。慌ただしく出かける人のヒントになると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

大腸の基礎:大腸は盲腸・結腸・直腸の3つの部分から成る

まずは大腸の分類について解説していきます。これを学んでおくことで、以降の説明が理解しやすくなります。

大腸は小腸から近い順に「盲腸」、「結腸」、「直腸」という3つの部分から成ります。

「盲腸」という言葉は病名と勘違いされている場合が多いですが、実際には腸の名前です。

※盲腸の近くにある「虫垂」という突起が炎症を起こすことを「虫垂炎」といいます。一般的に「盲腸」と呼ばれる病気はこの虫垂炎のことを指します。

結腸は大腸の大部分を占める部分です。おへその右あたりから上に向かう「上行結腸(じょうこうけっちょう)」、肋骨の下あたりを右から左へ向かう「横行結腸(おうこうけっちょう)」、腹部の左側を下に向かう「下行結腸(かこうけっちょう)」、直腸手前のS字状に曲がった「S状結腸(えすじょうけっちょう)」があります。

腸の内容物は、小腸 → 盲腸 → 上行結腸 → 横行結腸 → 下行結腸の順で通過したのち、S状結腸で滞留することとなります。

直腸はS状結腸と肛門の間にあります。S状結腸に滞留した便が直腸まで到達すると、脳に信号が送られて「便意」を生じます。

では、これらの内容を踏まえて、「朝に便意を生じやすい理由」について解説していきます。

朝に便意を生じやすい理由

腸のぜん動運動(食べた物を肛門の方へと移動させる収縮運動)は、副交感神経(リラックスしているときに働く自律神経)が優位なときに活発化します。

そのため、仕事や勉強が終わってリラックスしていたり、落ち着いて食事を摂ったりしているときは比較的活発化しています。ただ、夜になるにつれて、ぜん動運動は徐々に弱くなっていきます。

一方、睡眠中は「モチリン」というホルモンが約100分毎に周期的に分泌されます。

このホルモンには「消化酵素の分泌を促進する」、「小腸内にある便を大腸へ送り出す」といった働きがあります。モチリンのこの作用によって、胃と小腸が空っぽになり、翌朝の食事を迎え入れる準備が整えられます。

このように、夕方から翌朝にかけては、ぜん動運動やモチリンの働きにより、便が「小腸 → 盲腸 → 上行結腸 → 横行結腸 → 下行結腸」の順に肛門方向へと移動している時間帯といえます。

腸の中を移動した便はS状結腸に滞留します。そして、この滞留している便は、「大ぜん動」という1日に2~3回起こる大きなぜん動運動によって、直腸へと押し出されます。大ぜん動によって便が直腸に到達すると、直腸から脳に信号が送られて「便意」が生じます。

このことから、便意を生じるためには大ぜん動という収縮運動が必要であることが分かります。それでは、この大ぜん動はいつ生じるのでしょうか? 

大ぜん動は「胃に刺激が加わったとき」に生じます。胃への刺激が腸へと伝わり、大ぜん動が促されるのです。これを「胃・結腸反射」といいます。

ただ、「胃に刺激が加わったとき」といっても、昼食や夕食時より朝食時のほうが大ぜん動は起こりやすいです。なぜなら、昼食や夕食時と比べて、朝食時のほうが胃は空っぽに近いため、胃への刺激は強くなるからです。

さらに朝食時には、S状結腸にある程度の便が滞留しています。そのため、朝食を摂ることで大ぜん動が引き起こされると、S状結腸に溜まった便の排泄が促されることになります。これが「朝に便意を生じやすい理由」です。

便秘予防に効果的な朝の過ごし方

ここからは、「便秘予防に効果的な朝の過ごし方」について述べていきます。

「朝に便意を生じやすい理由」を理解したうえで、以下の項目を生活に取り入れることで便秘を予防することができます。

夜はしっかり眠る
夜のうちに便が肛門方向へと送られるため、しっかり眠ることが大事です。また、モチリンは空腹時に分泌されるため、就寝前に何かを食べるのは控えるようにしましょう。

睡眠時間6時間以上を確保したうえで、早起きする
朝食を摂ったり、トイレに行ったりする時間を確保するために、なるべく早起きしましょう。

朝起きたら、カーテンを開けて朝日を浴び、コップ一杯の水を飲む
自律神経を副交感神経優位な状態から交感神経優位な状態へと切り替えるのに効果的です。場合によっては「コップ一杯の水」によって便意を生じることもあります。

朝食をしっかり摂る
「胃・結腸反射」を引き起こすために、朝食はしっかり摂りましょう。パンやバナナなどでも構いません。

便意を感じたら我慢せずにトイレに入る
我慢を続けていると、そのうち「直腸から脳への信号」が衰えてしまい、便意そのものを感じなくなってしまいます。これは直腸性便秘と呼ばれます。これを避けるためにも、便意は我慢しないようにしましょう。

今回述べてきたように、朝は最も便意を生じやすい時間帯です。この時間帯に排便せずに、急いで外出することは、自ら便秘を招いているようなものです。朝の時間を有効活用して快適な排便を行うためにも、今回お伝えした内容をぜひ日々の生活に取り入れてみてください。



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