さまざまなオリゴ糖の特徴と生理作用

腸内環境を整える上で重要な食品成分としてオリゴ糖があります。オリゴ糖は善玉菌(主にビフィズス菌)のエサになる糖質です。

市販されているオリゴ糖にはさまざまなものがあります。各商品の原材料名を見てみると、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、セロオリゴ糖など、実に多くの種類のオリゴ糖が世の中にあることがわかります。

オリゴ糖は主にビフィズス菌のエサになるため、「お腹の調子を整える」ことがもっとも基本的な生理作用(体に与える影響)となります。

ただ、多くの企業や大学の研究により、「お腹の調子を整える」以外にもさまざまな生理作用があることが判明しています。

ここでは、これまでに明らかにされている各オリゴ糖の生理作用や特徴についてまとめていきます。あなたが普段摂取しているオリゴ糖にどのような特徴があるのか把握する際の参考にしてみてください。

難消化性オリゴ糖の特徴と生理作用

難消化性オリゴ糖とは「消化・吸収されずにそのまま大腸まで到達するオリゴ糖」です。そのため善玉菌(主にビフィズス菌)のエサになりやすいです。

ガラクトオリゴ糖
甘味度:20~40(砂糖と比べて20~40%の甘さという意味です)
含まれる食材:母乳や市販のヨーグルト
  • 1日2 グラム以上摂取することで、ビフィズス菌が増加し、バクテロイデス属という種類の細菌が減少します。そのため、腸内細菌バランスがよくなります。それに伴って、インドールなどの腐敗物質の産生が抑制されます。
  • 1日5グラムの摂取で便秘が改善することが報告されています。
  • その他の作用として、カルシウムなどのミネラルの吸収効率の向上、血中コレステロールの低下、大腸癌予防効果などがあります。

<管理人コメント>
大手食品メーカーが中心となってさまざまな研究を行っています。理由はもちろん有益な作用を示して、宣伝効果を高めるためです。メーカーのそのような努力があるため、数多くの生理作用が報告されています。

現在では、慢性腎不全という重篤な腎臓病の進行を抑制する効果があることが動物実験で示されています。

キシロオリゴ糖
甘味度:25~40
含まれる食材:たけのこ、とうもろこし
  • 1日0.4グラム以上の摂取でビフィズス菌が増加し、腸内細菌バランスが改善します。
  • 1日0.4グラム以上の摂取で便秘が改善します。
  • カルシウムなどのミネラル吸収効率を向上させる働きもあります。

<管理人コメント>
キシロオリゴ糖の特徴は、1日あたり0.4グラムという少量で効果があることです。これは「スティックシュガーに含まれる砂糖のたった1/8」です。

ただ、キシロオリゴ糖を食材から摂取するのは難しいです。このオリゴ糖は、たけのこやとうもろこしに含まれますが、その含有量はごく微量です。そのため、キシロオリゴ糖はサプリメントなどから摂取するのが良いでしょう。

また、キシロオリゴ糖はすべてのビフィズス菌を増やすわけではありません。ビフィズス菌にもさまざまな種類がいるのですが、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)やビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)という種類のビフィズス菌は、キシロオリゴ糖を摂取しても増えません。

そのため、偏りなくビフィズス菌を増やすためには、キシロオリゴ糖を単独で摂取するよりも、他のオリゴ糖とセットで摂取したほうが効果的でしょう。

フラクトオリゴ糖
甘味度:30~60
含まれる食材:たまねぎ、ごぼう、アスパラガス、バナナ、ハチミツ
  • 1日1グラムの摂取でビフィズス菌が増加し、腸内細菌バランスが改善します。それに伴い、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの腸内環境に良い物質がたくさん作られることが確認されています。
  • その他の作用として、便通の改善、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や血糖値の低下作用があります。

<管理人コメント>
身近な食材から摂取しやすいオリゴ糖です。上記の食材の中で、特にゴボウは食物繊維も豊富ですので、腸内環境改善には最適の食材といえます。ぜひ積極的に摂取するようにしてください。

大豆オリゴ糖
甘味度:70~75
含まれる食材:大豆
  • 1日10グラムの摂取でビフィズス菌が増加し、クロストリジウム属という種類の細菌が減少します。そのため、腸内細菌バランスが良くなります。
  • 1日1グラムの摂取で便秘が改善します。

<管理人コメント>
ガラクトオリゴ糖やラフィノースなどの複数のオリゴ糖が混ざっています。納豆に豊富に含まれるので、サプリメントだけに頼らず食品からも摂取するようにしましょう。

論文では「1日10グラムの摂取で腸内細菌バランスが改善」と記載されていますが、実際にはもう少し少量でも効果はあるでしょう。

乳果オリゴ糖(=ラクトスクロース)
甘味度:30
含まれる食材:ヨーグルト
  • 1日1gの摂取でビフィズス菌が増加し、バクテロイデス属やクロストリジウム属という種類の細菌が減少します。そのため、腸内細菌バランスが良くなります。
  • その他の作用として、整腸作用、カルシウムなどのミネラル吸収効率の向上、肥満予防効果、インフルエンザウィルスの感染予防効果などがあります。
  • また、乳糖不耐症(牛乳を飲むとお腹をくだす症状のこと)の改善効果もあります。

<管理人コメント>
摂取を中止すると、1~2週間で摂取前の腸内環境に戻ることがデータとして示されています。これはラクトスクロースに限らず、他のオリゴ糖にも当てはまることだと思います。

メーカーとしては、このようなデータを示すことで「摂取し続けることの重要性」を強調しているのだと思います。

ラフィノース(=ビートオリゴ糖)
甘味度:20
含まれる食材:甜菜(てんさい)、サトウキビ、ハチミツ、キャベツ、ジャガイモ、ブドウ、各種麦類、とうもろこし、豆類
  • ビフィズス菌を増やして腸内細菌バランスを改善します。
  • その他の作用として、便通の改善、アトピー性皮膚炎の改善、肝機能の改善などが知られています。

<管理人コメント>

主に北海道で生産されている甜菜という植物から取り出されるオリゴ糖です。アトピー性皮膚炎や肝機能の改善効果があるという特徴があります。私が自宅で常備しているオリゴ糖も、このラフィノースが主成分として含まれています。

セロオリゴ糖
甘味度:30
含まれる食材:ハチミツ、ワイン
  • ビフィズス菌だけでなく酪酸菌も増やすため、腸管内の酪酸を増加させます。酪酸は腸内環境を整える上で非常に重要な物資です。
  • 1日3グラムの摂取で便通が改善します。
  • その他の作用として、潰瘍性大腸炎の症状緩和、体脂肪率の低下などが確認されています。

<管理人コメント>
他のオリゴ糖と違って、酪酸菌(クロストリジウム・ブチリカムという細菌)や乳酸菌のエサになります。そのため、ビフィズス菌だけでなくこれらの善玉菌も増加するという特徴があります。つまりセロオリゴ糖を摂取することで、さまざまな善玉菌を増やすことができるのです。

消化・吸収されやすいオリゴ糖の特徴と生理作用

ここまで述べてきたオリゴ糖と違って、消化・吸収されやすいオリゴ糖の特徴を解説していきます。消化・吸収されやすいオリゴ糖は、大腸に到達する前に一部が小腸から吸収されてしまいます。そのため、腸内環境の改善効果は少し弱くなります。

イソマルトオリゴ糖
甘味度:40~50
含まれる食材:味噌、醤油、清酒
  • 1日10グラムの摂取でビフィズス菌が増加することが確認されています。
  • 便秘の改善効果もあります。

<管理人コメント>
イソマルトオリゴ糖を主成分とするオリゴ糖はたくさん市販されています。しかも安価です。イソマルトオリゴ糖は安価で大量に入手できるデンプンを分解して生産されているため、市販品の値段も安いのです。

ただ、消化・吸収性のオリゴ糖であるため、腸内環境を整えるためには難消化性オリゴ糖よりは多く摂取する必要があることを把握しておいてください。

乳糖
甘味度:40
含まれる食材:牛乳、母乳
  • 整腸作用、カルシウム吸収促進作用、血糖値低下作用、肥満予防効果などがあります。

<管理人コメント>
基本的には消化されやすいオリゴ糖です。ただ、個人差が大きく、人によっては消化できない場合もあります。牛乳を飲んだあとにお腹をくだす「乳糖不耐症」の原因となるオリゴ糖でもあります。

このように、数多くのオリゴ糖が売られています。基本的にそれらはすべて「腸内環境に良い」と考えて構いません。また現在でもオリゴ糖の効果に関する研究は進められており、今後さらなる効果が追加される可能性があります。あなたも積極的にオリゴ糖を摂取し、腸内環境を整えるようにしましょう。

※ 摂取しすぎるとお腹が緩くなるので注意して下さい。商品記載の摂取量を目安に摂取するようにしましょう。



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