善玉菌による肥満解消効果:効果がある場合とない場合がある

世の中にはダイエット効果を謳った乳酸菌サプリメントがたくさん市販されています。実際、ある種の乳酸菌やビフィズス菌にダイエット効果があることは、人を対象とした臨床試験で確認されています。しかし、すべての乳酸菌やビフィズス菌にダイエット効果があるわけではありません。

そこで今回は、善玉菌のダイエット効果を検証した研究について整理していきます。また、このような研究成果を把握した上で、ダイエットサプリメントを利用する際の注意点を述べていきます。

乳酸菌サプリメントを利用して手軽にダイエットを行いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

※ Nurition Res(2015, 35, 566)に記載されたデータを参考にまとめています。この参考文献では、過去に行われた368の臨床試験のうち信頼性の高い9つの試験についてまとめられています。

ダイエット効果が認められた例

以下に示す4つの試験でダイエット効果が認められています。

試験1:ガセリ菌(ラクトバチルス・ガセリ)
BMI=平均27.3の210名を対象とした試験が国内で行われました。そして、12週間ガセリ菌を摂取することでBMIが低下しました。

※ BMI: 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算される肥満指数です。25以上が肥満です。

<管理人コメント>
12週間の継続的な摂取が必要ですが、内臓脂肪の減少などが認められています。ガセリ菌を含むサプリメントが市販されているため、摂取しやすい乳酸菌といえます。

試験2:プランタラム乳酸菌(ラクトバチルス・プランタラム)
BMI=平均37の36名のロシア人を対象とした試験が行われました。そして、3週間プランタラム乳酸菌を摂取することでBMIが低下しました。

<管理人コメント>
BMI=37という比較的肥満度の高い人を対象とした試験でしたが、3週間で効果が得られました。国内の別の試験においても、3週間で体脂肪率を減少させることが示されています。

ガセリ菌同様、プランタラム乳酸菌を含むサプリメントが市販されているため、摂取しやすい乳酸菌といえます。

試験3: ラムノーザス菌(ラクトバチルス・ラムノーザス)
BMI=平均33.6の93名を対象とした試験が海外で行われました。そして、24週間ラムノーザス菌を摂取することで、女性の体重が減少しました。

<管理人コメント>
興味深いことに、男性では体重減少効果は得られなかったようです。一方、女性では体脂肪率の減少や腸内環境の改善が認められました。

ラムノーザス菌に関しても、サプリメントが市販されているため摂取しやすい乳酸菌といえます。

試験4: 複数の善玉菌
BMI=平均28の36名を対象とした試験が海外で行われました。そして、8週間複数の善玉菌(4種類の乳酸菌と3種類のビフィズス菌)を摂取することでBMIが低下しました。

<管理人コメント>
この試験では複数の善玉菌が同時に摂取されています。その種類は、海外で使用されている医薬品である「VSL#3」とほぼ同じです。ただ、国内でこの医薬品を入手するのは難しいです。そのため、この試験と同じような善玉菌を手軽に摂取することはできません。

このように、善玉菌の摂取でダイエット効果が得られた例はいくつかあります。しかし、逆に効果がなかったという試験もいくつかあります。それらについて、以下に整理していきます。

ダイエット効果が認められなかった例

前述の通り、善玉菌の摂取でダイエット効果が認められなかった試験もあります。一覧を以下の表にまとめました。

腸,腸内細菌,腸内環境,健康

このように、善玉菌を摂取してもダイエット効果が得られなかったという結果も得られているのです。

試験3で効果が得られていたラムノーザス菌に関しても、表の一番上に示したように、効果が得られない場合があります。

つまり、同じ善玉菌であっても、ダイエット効果が得られたり得られなかったりするのです。

この違いについて研究者の間では、「摂取期間、摂取量、摂取方法(カプセル or ヨーグルトなど)などの違いが影響している」という見解が一定の共通認識となっています。

ここまで述べてきたように、すべての善玉菌にダイエット効果が認められているわけではありません。ただ試験1~4に示したように、ダイエット効果が得られる善玉菌は確かに存在します。

もし、善玉菌のサプリメントを用いてダイエットを行いたい場合は、このような試験結果が得られているサプリメントを選ぶと効果を得やすいでしょう。その際は、商品に記載されている摂取量や摂取方法を確認した上で、継続的に摂取するようにしましょう。



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