β-グルカンは、「血糖値の上昇抑制」と「満腹感の維持」という二つの作用を介してダイエット効果を示すことが証明されています。
そしてこれらの作用に関連して、β-グルカンにはもう一つ興味深い特徴があります。それは、「1度β-グルカンを摂取すると、次の食事でもその効果が持続する」という特徴です。これを「セカンドミール効果」といいます。
※ セカンド(second)は「2回目」、ミール(meal)は「食事」という意味です。
そこで今回は、β-グルカンのセカンドミール効果について解説していきます。また、セカンドミール効果を意識した効果的な食事の例についても述べていきます。β-グルカンのセカンドミール効果を利用することで、極端な食事制限をしなくてもダイエット効果を得られるのです。
β-グルカンの効果は長時間持続する
β-グルカンの血糖値抑制効果が長い時間持続することを示した研究があります。その内容について紹介します。(参考文献:Am J Clin Nutr, 2008, 87, 645)
<試験の内容>
- 21~41歳の健康な男性7名、女性5名の計12名を対象に試験を行いました
- 12名全員に、小麦パン or 小麦パンと大麦食物繊維 or 大麦穀粒を試験の前夜に食べてもらいました(穀粒とは麦の粒の部分です)
- 翌朝は小麦パンを食べてもらいました
- 朝食後の血糖値の変化を測定しました
朝食後の血糖値は、以下のグラフのように変化しました。
グラフを見てわかる通り、前夜に小麦パンを食べた場合、朝食後の血糖値は約130mg/dLまで上昇します(青のライン)。
ところが前夜に大麦穀粒や、小麦パンに加えて大麦食物繊維を摂取しておくと、朝食後の血糖値の上昇が緩やかになります(緑と赤のライン)。朝食の内容は変わらないのに、前夜の食事内容が影響して、血糖値の上昇が抑えられているのです。
大麦食物繊維のほとんどはβ-グルカンです。つまり、前夜に摂取したβ-グルカンが翌朝の朝食後の血糖値に影響したのです。このように、β-グルカンによる血糖値の上昇抑制効果は数時間持続するのです。
なお上述の通り、セカンドミール効果が得られるのは血糖値だけではありません。満腹感に関してもセカンドミール効果は得られます。β-グルカンを摂取することで、食欲に関わるホルモンの分泌が長時間低下することも実験的に証明されているのです。
このように、β-グルカンによる「血糖値の上昇抑制」と「満腹感の維持」という二つの作用は長時間持続することを理解しておきましょう。
セカンドミール効果を利用した食事の例
最後にセカンドミール効果を意識した効果的な食事の例を紹介します。β-グルカンの研究で著名な日本食物繊維学会副理事長・青江誠一郎先生は、朝食に大麦のシリアル、夕食に麦ご飯(白米に大麦を3~5割混ぜたもの)を食べているそうです。
このように、セカンドミール効果を意識して、朝と夜にβ-グルカンを摂取することが効果的です。
なお私の場合は、毎日ではありませんが、朝食に「オーツ麦」を原材料にしたシリアルを食べています。オーツ麦は、大麦と同じようにβ-グルカンを豊富に含む食材です。また夕食ではほぼ毎日大麦の一種である「もち麦」を白米に食べて混ぜています。
※ もち麦は大麦の中でも、特にβ-グルカンを豊富に含む食材です。
もちろん毎食β-グルカンを摂取したほうが、血糖値抑制効果などは得られやすいです。ただ、昼食は仕事などの関係で、外食する方も多いと思います。そのような場合でも、朝食と夕食を工夫することで、ほぼ毎食β-グルカンの効果を得ることができるのです。
ここまで述べてきたように、β-グルカンには「1度食べると次の食事でもその効果が持続する」というセカンドミール効果があります。この効果を利用して、朝食と夕食に大麦などを摂取することで、極端な食事制限をせずにダイエットを行うことができます。