うんちの状態を毎日チェックすることで腸内環境を把握できる

あなたはトイレで排便したあと、自分のうんち(便)をチェックしているでしょうか?

実は便をチェックすることで自分の腸内環境をある程度把握することができるのです。

ふつう、腸の中を検査するためには「大腸内視鏡検査」や「カプセル内視鏡検査」などの検査を行う必要があります。しかし、これらの検査を毎日行うことはできません。

一方、「便のチェック」であれば毎日簡単に行うことができます。費用もかかりませんし、特別な準備も不要です。

そこで今回は自分の腸内環境を把握するための「便のチェック方法」について述べていきます。内容を理解して、あなたも毎日自分のお腹の調子を把握するようにしましょう。

便の組成

そもそも便はいったい何からできているのでしょうか?

ふつうの人であれば「食べた物のカス」と答えると思います。しかし、食べた物のカスは全体の10%ぐらいしかありません。

簡単にいうと、便は「水」「食べた物のカス」「腸内細菌」「腸の細胞」からできています。だいたいの構成比は、水が約70%、食べた物のカス、腸内細菌(死んでいる細菌も含む)、腸の細胞がそれぞれ約10%です。

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成人であれば一日の便の量は100~250gぐらいです。仮にトイレで200gのうんちをしたとすると、水が140g、食べた物、腸内細菌、腸の細胞がだいたい20gずつ含まれることになります。

もちろん、下痢の場合は水分量が増えて、その割合は90%以上になります。逆に便秘のとき水分は70%以下になります。

便は腸内環境のバロメーター

冒頭にも記載したとおり、便をチェックすることで腸内環境をある程度把握することができます。

実際、世の中の腸内細菌研究者はさまざまな分析機器を使って便を解析しています。私が研究者だった頃もよくラット(大きめのネズミ)の便を解析していました。

研究者は「便の中にどのような腸内細菌がいるか?」や「便の中にどのような物質が含まれているか?」ということを解析します。そうすることで腸内環境を把握することができるのです。

ただ一般の人でも、色や形、臭いなどから腸内環境をある程度把握することができます。実際、私も毎日チェックしています。

このように、便には健康情報がびっしり詰まっているのです。そのため、便のことを「茶色い宝石」と呼んでいる研究者もいるほどです。

理想的な便の量、形、色、臭い

ここからは、便のチェック項目について紹介しています。

基本的には「量」「形」「色」「臭い」の4点をチェックするようにしましょう。以下にそれぞれの項目について解説していきます。

便の量と形
成人であれば1日に100~250gの便を排泄すると書きましたが、日常生活で重さを量ることはありません。したがって、見た目で判断するようにしましょう。

基本的には「バナナのようなうんちがベスト」と覚えておいてください。特にいきむこともなく、スルッとバナナのようなうんちが出たときは、腸内環境が良い状態になっていると考えられます。

便の色
理想的な便の色は「黄土色」です。消化の過程で分泌された胆汁(たんじゅう:脂肪を消化するための消化液)に含まれる色素がこのような色をしているからです。

便秘の場合は徐々に色が黒っぽくなります。便が腸の中に長時間とどまっていると、上記の色素が徐々に酸化されるからです。

ただし「海苔のつくだ煮」のような真っ黒な便が出たときは注意してください。このような便は「タール便」と呼ばれます。この場合、胃や小腸など肛門から離れた臓器から出血している可能性があります。

また、赤い血液が混じっているときも注意してください。ほとんどの場合は「痔」が原因ですが、大腸から出血している可能性もあります。特に血液が粘液と一緒に出る「粘血便」の場合は、大腸から出血している可能性が高いので専門医に相談してください。

便の臭い
臭いも重要なチェック項目です。しかし「どのような臭いがよいか」を述べるのは正直難しいです。

赤ちゃんであれば「ヨーグルトのような臭い」がベストです。離乳食前の赤ちゃんのお腹の中には、ビフィズス菌がたくさんいます。ビフィズス菌は乳酸や酢酸などの「酸」を作るので、ヨーグルトのような臭いがするのです。

しかし、大人の場合は赤ちゃんほどビフィズス菌がいないので、ヨーグルトのような臭いになることはまずありません。そして、便の臭いは人によって微妙に異なります。そのため、理想的な臭いというのはあまりありません。

ただ、普段から自分の便の臭いをチェックしておき、「いつもと違う異様な臭いがしないか」をチェックするようにしてください。いつもと違う異臭がしたときは腸内環境に何らかの異変があったサインです。

その他のチェック項目:洋式の水洗トイレの場合

上述のとおり、基本的には「量」「形」「色」「臭い」をチェックしておけば十分です。ただ最後に洋式の水洗トイレならではのチェック項目があるので紹介しておきます。

洋式トイレで排便すると、便が水に浮く場合と沈む場合があります。このとき水に浮く軽い便が理想です

サツマイモやキャベツのように不溶性食物繊維(水に溶けない食物繊維)を食べていると、腸内のガスなどを抱え込んだような便になります。そのため、便のかさが増えて、フワッと水に浮くようになるのです。逆に食物繊維の摂取量が少ないと、便は水に沈んでしまいます。

ここまで述べてきたように、便には腸内環境を知るための手がかりがたくさんあります。何もチェックせずに流してしまうのは大変もったいないことです。あなたも毎日、流す前にチェックする習慣をつけましょう。そうすることで健康への意識が今まで以上に高くなるはずです。

まとめ

    • うんちの状態をチェックすることで腸内環境をある程度把握することができる

    • バナナのような形で黄土色のうんちがベストである

    • うんちの臭いがいつもと違うときは、腸内環境に何らかの変化があったサインである

  • 洋式の水洗トイレでは沈むうんちよりも浮くうんちのほうがよい





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