便の表面に赤い血液が付着したものだけでなく、粘液と血液が混じった「粘血便」や海苔のつくだ煮のような真っ黒い「タール便」も血便の一種です。
トイレで大量の血便が出たり、少量でも毎日便に血が混じっていたりすると「何かの病気ではないか」と心配になると思います。実際、このサイトでも血便に関するお問い合わせを頂いたことがあります。
そこで今回は、血便が出る原因とその対処法について解説していきます。血便の状態から健康状態をある程度把握できることを理解しましょう。
便に混じった血液の色から出血部位を推測できる
血便にはさまざまな種類があります。そして血便の色から出血部位をある程度推測することができます。例えば、真っ赤な血便が出たときは、肛門に近い部分から出血している可能性が高いです。逆に、黒っぽい血液が混じっている場合は、胃や小腸などの肛門から離れた臓器から出血している可能性があります。
肛門から離れた臓器から出血した血液は、消化管内を移動中に酸化して黒くなるからです。
このように血便の色から出血部位をある程度推測することができます。そのため、どのような便が出ているかチェックしておくことが重要です。
血便が出る原因
血便が出る背景にはさまざまな疾患があります。以下に説明していきます。痔
赤い血便の原因として最も可能性が高いのが「痔」です。痔には「切れ痔」「いぼ痔」「あな痔」の3種類があります。このうち、切れ痔といぼ痔の場合は、排便のたびに出血を伴うことがあります。切れ痔の場合、出血量は比較的少ないですが痛みを伴います。
一方、肛門内部にイボができた場合は、大量に出血することがあります。ただ切れ痔のように痛みを伴うことはあまりありません。
痔の特徴として「赤い鮮血が出る」「下痢・腹痛・発熱などはない」「普段から便秘傾向」などがあげられます。これらの特徴に当てはまる場合は痔の可能性が高いです。
軽症の段階であれば市販薬と食生活の改善で回復することがあります。しかし、重症化してしまうと医療機関を受診する必要があります。私も2回受診したことがあるので、恥ずかしがらずに病院へ行きましょう。
血便が出たときの対処法
上述のとおり、軽症の切れ痔やいぼ痔であれば市販薬と食生活の改善が有効です。市販薬には「軟膏タイプ」「注入タイプ」「座薬タイプ」の3つの種類があります。それぞれ有効成分は同じなので、痔の状態に合わせて購入しましょう。
基本的には、肛門の外側の痔には「軟膏タイプ」、肛門の内側の痔には「注入タイプ」を買っておけば問題ありません。なお、私は座薬があまり好きではないので「座薬タイプ」は買ったことがありません。
食生活に関しては「お酒を飲まない」「辛い物を避ける」「水溶性食物繊維が豊富な海藻、フルーツ、ネバネバ系の野菜(オクラ、長芋など)を食べる」「ヨーグルトを食べる」ということを意識しておいてください。
痔が重症化した場合やなかなか治らないときは医療機関を受診しましょう。また、痔の可能性が低いとき、粘血便やタール便が出たときも迷わずに医療機関を受診してください。
大腸内視鏡検査と注腸造影検査
病院では必要に応じて大腸内視鏡検査や注腸造影検査が行われます。大腸内視鏡検査とは、肛門からカメラを挿入して大腸内部を観察する検査です。ちなみに、日本の大腸内視鏡検査のレベルは世界でもトップクラスです。
注腸造影検査は、肛門から大腸内にバリウムと空気を入れて、大腸のレントゲン写真を撮る検査です。胃のバリウム検査と同じような検査を大腸で行うと考えてください。ただ、この検査は最近はあまり行われなくなってきました。
なぜなら、この検査で異常が見つかると、結局は内視鏡検査でさらに詳しく検査することになるからです。検査を二回行うことになるので、最初から大腸内視鏡検査を行うことが多いのです。
今回述べてきたように、血便にはさまざまな原因があります。赤い血便は痔である可能性が最も高いですが、痔以外の疾患が背景にある場合もあります。どのような疾患が原因である推測するためにも、便の状態をよく観察しておきましょう。
まとめ
- 便に赤い血液が混じる場合は、肛門付近で出血している可能性が高い
- 便に黒い血液が混じる場合は、胃や小腸などの肛門から離れた臓器から出血している可能性がある
- 赤い血便の原因として最も可能性が高いのは「痔」である
- 軽症の痔であれば、市販薬と食生活の改善で治すことができる
- 重症化した痔や痔以外の可能性がある場合は医療機関を受診した方がよい