小学生以降の子供の便秘:原因と対策

便秘で悩む人は「男性より女性に多い」「若者より高齢者に多い」という傾向があります。しかし、だからといって子供が便秘にならないというわけではありません。子供でも便秘に悩むことはあります。

子供の便秘については、「乳児期」「幼児期」「小学生以降」に分けて考えるとわかりやすいです。

そのなかで今回は「小学生以降の便秘」に焦点を当てて話を進めていきます。便秘の原因は基本的に大人と同じですが、子供ならではの事情もあります。子供が便秘になる理由を大人である私たちもしっかりと理解し、便秘解消の手助けができるようになっておきましょう。

小学生以降の便秘の3大原因

小学生以降の子供が便秘になってしまう主な原因は「便意の我慢」「偏った食生活」「不規則な生活」です。

これらは大人の便秘の原因でもありますが、上述のとおり、子ども特有の事情もあります。それぞれの項目について順に解説していきます。

便意の我慢
「便意を感じても我慢してトイレに行かない」ということを繰り返していると、そのうち脳は便意そのものを感じなくなってしまいます。そして結果的に排便習慣がなくなり便秘になってしまうのです。このような便秘は専門用語で「直腸性便秘」といいます。

小学生以降の便秘には、この直腸性便秘が多いです。そして、子供が便意を我慢してしまう大きな理由として「① 学校では恥ずかしくてうんちできない」「② 朝、トイレに行く時間がない」の2つがあります。

便意を我慢する理由①:学校では恥ずかしくてうんちできない
トイレの設備メーカーであるTOTO株式会社が、小学生988人(男の子429人、女の子559人)を対象に行ったアンケート結果の一部を簡単に紹介します。
Q. 学校でうんちをしますか?

    • 男の子の回答:177人の男の子が「できるだけしない」もしくは「絶対しない」と答えました。これは男の子全体の41.3%に当たります。

  • 女の子の回答:190人の女の子が「できるだけしない」もしくは「絶対しない」と答えました。これは女の子全体の34%に当たります。
このアンケート結果からわかるとおり、子供は学校で便意を我慢する傾向にあります。

特に、男の子は女の子以上に我慢します。実際、私が小中学生の頃もほとんど学校でうんちはしませんでした。

男の子の場合、「トイレの個室に入る=うんちする」の方程式が成り立ってしまいます。個室に入っているところを友だちに見られると「あいつ、うんちしてた!」とクラスで冷やかされる要因になってしまうのです。

小学生の男児はときに残酷なところがあります。個室に誰かが入っていると、上から覗こうとしたりドアを蹴ったりするなど、大人では考えられない行動をすることがあるのです。

そのため、特に男の子の場合は、学校での便意を我慢するようになります。また、アンケート結果からわかるとおり、女の子も学校での便意を我慢する傾向があります。

このような子供特有の事情があるため、「子供は大人以上に便意を我慢する」ということを理解しておきましょう

便意を我慢する理由②:朝、トイレに行く時間がない
「朝、トイレに行く時間がない」というのは大人でもよくあります。ただ大人の場合は、職場で便意を感じると人目を気にせずにトイレに行くことができます。つまり、家以外の場所でも排便する機会はあります。

一方、①で述べたように子供の場合は事情が異なります。子供は朝便意を我慢してしまうと、ほぼ一日中我慢することになってしまうのです。この点が大人と子供の決定的な違いです。

ただ、子供に「学校でうんちしたくなったら、恥ずかしがらずにトイレに行きなさい」といってもおそらく行かないでしう。少なくとも小学生の頃の私は行かなかったと思います。

そのため、子供にとって「朝、トイレに行く時間がない」というのは大人以上に深刻です。そしてこれを解決するためには、早起きする以外にありません。

つまり子供のライフスタイルを見直す必要があるのです。「朝、排便する」というライフスタイルにすることが子供の便秘解消のためには最も重要なのです。

偏った食生活
大人と同じで偏った食生活をしていると便秘になりやすいです。ただ子供の場合は、どうしても「ハンバーグが好き」「野菜は食べない」などの好き嫌いが出てきます。

そして、そのような食事では当然、食物繊維や発酵食品が不足して腸内環境が悪化してしまいます。そのため、できるだけ「腸内環境をよくする食事」を作ってあげるようにしましょう。

腸内環境をよくする食事の基本は大人と同じです。具体的には以下のような食材を使った献立を心がけてください。
    • 水溶性食物繊維(水に溶ける食物繊維):海藻類、オクラや長芋などのネバネバ系野菜、ゴボウ、フルーツ、もち麦など

    • 不溶性食物繊維(水に溶けない食物繊維):さつま芋、野菜(キャベツ、れんこんなど)

      • 善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌):ヨーグルト、納豆、漬物などの発酵食品

    • オリゴ糖:フルーツ、野菜(タマネギ、ゴボウなど)、はちみつ、大豆など

また、野菜嫌いの子供に野菜ジュースを飲ませているお母さんもいると思います。


ただ、「市販の野菜ジュースの多くは、食物繊維の量が不十分」という点は認識しておいてください。つまり野菜ジュースを飲むだけでは、食物繊維の摂取量は不十分なのです。


参考までに、厚生労働省が推奨している食物繊維の摂取量を以下に示します。

<厚生労働省が推奨している食物繊維の摂取量>
年齢
男性
女性
5歳以下
基準なし
基準なし
6~7歳
11g以上
10g以上
8~9歳
12g以上
10~11歳
13g以上
12~14歳
17g以上
16g以上
15~17歳
19g以上
17g以上
18歳以上
20g以上
18g以上

食物繊維に関しては「食事からも食物繊維を摂取する」ということを心がけておいてください。

また野菜ジュースを選ぶときは、なるべく食物繊維の多い野菜ジュースを選ぶようにしましょう。糖分の多い商品もあるので、糖分の摂りすぎにも注意しておいてください。

不規則な生活
大人と同じで不規則な生活をしていると便秘になりやすいです。不規則な生活は、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを崩してしまうからです。

自律神経のバランスは腸の働きに密接に関係しています。そのため、不規則な生活によって自律神経のバランスが崩れてしまうと便秘になってしまうのです。

小学生以降になるとだんだんと夜更かしするようになってきます。そして生活リズムも徐々に乱れてきます。このようなライフスタイルの乱れが便秘を招くことになるのです。

また夜更かしばかりしていると、朝の時間に余裕がなくなってきます。そして、上述の「朝、トイレに行く時間がない」という事態を招いてしまうのです。したがって、規則正しい生活をすることは「自律神経のバランスを整える」のみならず「毎朝の排便習慣」にもつながるのです。

私たち大人は、子どもが夜更かししすぎないように、うまく注意するようにしましょう。また、大人が規則正しい生活の見本を見せることも大切です。

子どもの便秘に気づくことも重要

子供が小学生以降になると、親は子どもの便秘に気づきにくくなってきます。乳幼児のときのように、子どものうんちを目で確認することもありません。また子供の方から「うんちが出ない」と教えてくれないことも多いです。

そのため、乳幼児のときに比べて親は子供の便秘に気づきにくいです。ただそうはいっても便秘に気づくポイントはあります。それは「おならの臭い」です。

子供は家ではあまり気にすることなくおならをするので、その臭いから子供のお腹の調子を推測することができます。

いうまでもなく、「悪臭=腸内環境の悪化=便秘」と考えて構いません。あまりに臭い屁をこいているときは、「くさー」と笑ってあげながら、献立を工夫するなどしてあげてください。

まとめ

    • 子供の便秘の3大原因は「便意の我慢」「偏った食生活」「不規則な生活」である

    • 特に「便意の我慢」に関しては、子供ならでは事情がある

    • 子供の便秘解消のために最も重要なポイントは「ライフスタイルの改善」である

  • 子供のおならの臭いから、便秘かどうかを推測することができる



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