ビフィズス菌がO-157の感染を予防?!病原性大腸菌の特徴と対策

この記事のポイント


大腸菌はその名が示すとおり、代表的な腸内細菌の一つですが、実際にはさまざまな種類に分けられます。大雑把に分類すると、食中毒のように人体に悪影響を及ぼす「病原性大腸菌」と「非病原性大腸菌」の二つがあります。

今回の記事では、まず病原性大腸菌について概要をまとめます。その後、病原性大腸菌O-157に対するビフィズス菌の効果について紹介します。O-157の怖さとビフィズス菌のすごさを学んでみてください。


【筆者】山口 幸三

  • 2003年:北海道大学農学部 卒業
  • 2005年:北海道大学大学院農学研究科 修士課程 修了
  • 2005年~2017年:協和発酵工業株式会社(現 協和キリン株式会社)
    がんや慢性腎不全の治療薬研究に従事。また、腸内細菌に関するプロジェクトを社内で初めて立ち上げ、プロジェクトサブリーダーとして研究を牽引。
  • 2019年:株式会社フローラボ設立
腸内環境に関する専門知識を背景に、腸活関連の事業を推進。健康食品の開発・販売、ファスティングや腸活ダイエットのサポート、事業者向け腸活勉強会などが主な仕事。企業などから講演を依頼されることもある。

病原性大腸菌の種類と特徴


大腸菌の中でも、特に人体に悪影響を及ぼすものを「病原性大腸菌」といい、以下の5種類に分けられます。

・腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
・腸管出血性大腸菌(EHEC)
・腸管病原性大腸菌(EPEC)
・腸管侵入性大腸菌(EIEC)
・腸管凝集性大腸菌(EAEC または EAggEC)


※ それぞれ「EEC」の形で略されます。最初のEは「腸の~」を意味する”entero”、最後のECは「大腸菌」を意味する”Escherichia coli”の略です。

※ 〇には該当する英単語の頭文字が入ります。毒素原性:toxigenic、出血性:hemorrhagic、病原性:pathogenic、侵入性:invasive、凝集性:aggregative


これら5種類のうち、食中毒の原因になりやすいものは腸管毒素原性大腸菌と腸管出血性大腸菌です。そこで、まずはこの2つについて解説します。

腸管毒素原性大腸菌

東南アジアやアフリカなどの旅行先で生水を飲むと下痢になることがあります。そのような下痢の原因になることが多いのが腸管毒素原性大腸菌です。

旅行先の生水には要注意


この菌が作り出す「エンテロトキシン」という毒素が腸の細胞に作用して、重い下痢を引き起こします。重症化したときは、米のとぎ汁のような下痢になったり嘔吐したりするため、脱水症状に十分注意しなければなりません。

腸管出血性大腸菌

この菌はとても有名な食中毒原因菌です。特に、腸管出血性大腸菌O-157はニュースで報道されることがあるため、名前を聞いたことがある人も多いでしょう。

O-157のニュース記事
(参照:京都新聞


O-157の写真
(参照:eXtension


腸管出血性大腸菌は「ベロ毒素」という強力な毒素を作ります。

この菌に感染すると、激しい腹痛を伴った下痢が数日間続きます。また、ベロ毒素は腸の中の毛細血管を破壊するため、「ほぼ血液」と言えるような真っ赤な血便が出ることもあります。重症化すると死に至ることもあるためとても危険です。

さらに、この菌は感染力が強く、わずか50個程度の菌が体内に入るだけで感染します。腸内細菌は100兆個以上もいるのに、わずか50個の侵入者の影響を受けてしまうのです。そのため、腸管出血性大腸菌に関しては、人から人への二次感染についても注意する必要があります。

その他

上記以外の病原性大腸菌の特徴は以下のとおりです。

腸管病原性大腸菌腸の細胞に接着して、絨毛(栄養を吸収する部分)を破壊する。
腸管侵入性大腸菌腸の粘膜の中まで侵入する。大腸に炎症を起こし、血液や粘液の混じった下痢を引き起こす。
腸管凝集性大腸菌大腸菌同士が凝集して細胞に接着する。下痢や嘔吐などの食中毒症状を引き起こす。

このように、病原性大腸菌にはさまざまな種類があります。上述のとおり、もっとも危険なのが腸管出血性大腸菌なので、この菌には細心の注意を払う必要があります。


ビフィズス菌はO-157の感染を予防する


病原性大腸菌の感染を防ぐためには、食品の十分な加熱や手洗いなどが有効です。しかし、外食する場合は、本人がいくら注意していてもお店の不注意などで感染してしまうリスクがあります。

外食するときでも、何らかの防御策を立てておきたいですよね? そこで役立つのが善玉菌の代表格「ビフィズス菌」です。実は、ビフィズス菌にはO-157の感染予防効果があることがわかってきたのです。

このことは、科学の世界でもっとも権威ある学術誌「Nature」で発表されました。
※参考文献:Nature

ビフィズス菌がO-157の感染を予防


この研究成果を発表したのは、著名な腸内細菌研究者である大野博司先生や福田真嗣先生です(当時の所属は理化学研究所)。先生方は、「ビフィズス菌が作る酢酸によって腸粘膜の抵抗力が上がる」ということを証明したのです。

この研究成果は私たちの生活に応用することができます。つまり、普段から積極的にビフィズス菌を摂取しておけば、O-157による食中毒リスクを下げられるのです。

したがって、普段からヨーグルトサプリメントなどを利用してビフィズス菌を摂取しておくことが大切です。また、お腹の中にいるビフィズス菌を増やしてくれるオリゴ糖や食物繊維なども効果的ですね。


まとめ

  • 大腸菌は「病原性大腸菌」と「非病原性大腸菌」の大きく二つに分類できる。
  • 病原性大腸菌の中でもっとも注意が必要なのは腸管出血性大腸菌(O-157など)である。
  • ビフィズス菌にはO-157の感染を予防する働きがある。

病原性大腸菌に感染して重症化すると命の危険があります。感染を避けるためにも食品の加熱や手洗いなどはしっかりと行いましょう。そのうえで、普段から腸内環境を整えておくことがさらなる予防につながるというわけですね。




公式LINEのご案内
腸活やダイエットに役立つ情報を無料配信中!友達登録で3つの特典をプレゼント! LINE登録の特典
LINELINE