ここでは、β-グルカンの「肥満予防やダイエット効果」について解説していきます。また、β-グルカンが豊富に含まれる食材についても紹介していますので、体重増加が気になる方は、普段の食事にβ-グルカンを取り入れる際のヒントにしてみてください。
β-グルカンが豊富に含まれる食材
β-グルカンは大麦やオーツ麦という食材に豊富に含まれます。いずれもあまり馴染みがないかもしれませんが、実は身近なところにある食材です。例えば、麦ごはんに含まれる麦は大麦です。したがって、麦ご飯を食べることでβ-グルカンを簡単に摂取できます。
麦ごはんには「押し麦」と呼ばれる大麦食材が使われています。そして、押し麦の仲間である「もち麦」という大麦食材もスーパーやネットショップなどで市販されています。
もち麦には押し麦よりも多くのβ-グルカンが含まれているため、私はもち麦のほうを推奨しています。いずれもご飯に混ぜて炊くだけなので、簡単に調理できます。
また、オーツ麦は主にシリアルの原料に使用されています。シリアルの原材料名を見てみると、「オーツ麦」という文字を確認することができます。例えば、某メーカーのフルーツグラノラというシリアルにはオーツ麦が原料として使われています。
このように、β-グルカンを豊富に含む食材は意外と身近なところにあるため、普段の食事にも取り入れるのは簡単です。
それでは次に、β-グルカンによる肥満の予防やダイエット効果について述べていきます。
β-グルカンの肥満予防効果:脂質を摂取しても太りにくくなる
β-グルカンと肥満との関係は多くの論文で報告されています。ここでは、「β-グルカンによる肥満予防効果」を示した実験結果を紹介します。(参考文献:Bioactive Carbohydrates and Dietary Fiber, 2015, 5, 79)
<実験の内容>
- 体重約30グラムのマウス40匹を10匹ずつ4グループ(A、B、C、D)に分けました。
- グループAには、普通のエサを与えました。
- グループBには、普通のエサとβ-グルカンを与えました。
- グループCには、脂肪をたくさん含むエサを与えました。
- グループDには、脂肪をたくさん含むエサとβ-グルカンを与えました。
- このエサを8週間食べ続けた後の体重を比較しました。
各グループの体重の変化は以下のグラフのようになりました。
グラフを見てわかる通り、脂肪をたくさん摂取するとマウスは太ります(グループC)。ところが、その餌にβ-グルカンを混ぜるとマウスは太らなくなります(グループD)。つまり、β-グルカンを食べることで、脂肪摂取に伴う体重増加が抑えられたのです。
また普通の餌を食べたマウス(グループA)よりも、β-グルカンを混ぜた餌を食べたマウス(グループB)の方が、体重増加は緩やかになっています。
この実験結果から、β-グルカンには肥満「予防」効果があることがわかります。
それでは、肥満の「予防」ではなく「解消」についてはどうでしょうか? つまり、既に太ってしまった人でも、β-グルカンを摂取することで痩せることは可能なのでしょうか?
この答えを示した研究を以下に紹介します。
β-グルカンのダイエット効果:内臓脂肪を減少させて痩せる
「太っている人が、β-グルカンを摂取することで痩せた」という研究成果が報告されています。その研究内容について以下に紹介します。(参考文献:日本食生活学会誌, 2015, 26, 3)
<試験の内容>
- 太っている日本人(BMI:25以上)50名を対象にしました。
- 50名を2つのグループ(AとB)に分けました。
- グループAは白米を食べました。
- グループBは白米にもち麦を混ぜて食べました(米:もち麦=7:3の割合)
- 12週間食べ続けた後の腹囲と内臓脂肪を比較しました。
各グループの腹囲と内臓脂肪量は、以下のグラフのように変化しました。
グラフを見てわかる通り、白米にもち麦を混ぜることで内臓脂肪が減少し、腹囲が小さくなっています。
参考文献には体重の変化は記載されていませんでした。しかし、既に太ってしまった人においても、β-グルカンを摂取することで内臓脂肪が減少して腹囲が小さくなることが示されました。つまり、β-グルカンにはダイエット効果があるのです。
約3ヶ月間という比較的長い期間を要しますが、もち麦をご飯に混ぜて食べるだけなので、手軽にその効果を得ることができます。
ここまで述べてきたように、β-グルカンは肥満の予防やダイエットに有効です。β-グルカンを豊富に含む押し麦やもち麦は、白米に混ぜて炊くだけで簡単に食べられます。また、β-グルカンが豊富なオーツ麦を原料としたシリアルも市販されています。体重が気になる人は、これらの食材を普段の食事に加えることで、手軽にダイエットすることができるのです。